クロマグロ幼魚、漁獲枠半減へ 水産庁が枯渇対策
水産庁は26日、高級魚で知られる太平洋クロマグロについて来年1月からの漁獲枠を半分にすると発表した。日本沿岸で地域別に漁獲上限を設ける。乱獲により太平洋クロマグロの親魚の資源量は過去最低水準に近づいており、きめ細かい管理で回復をめざす。クロマグロの価格が高止まりする一因になりそうだ。
26日開いた「資源・養殖管理に関する全国会議」で、幼魚の漁獲上限を年4007トンと2002~04年の平均値(8015トン)の半分にする方針を示した。
太平洋クロマグロは最高級のトロがとれ、すしネタとして人気が高い。メジ、ヨコワと呼ばれる30キロ未満の幼魚のとりすぎで、12年の親魚の資源量は約2.6万トンと1984年につけた最低値(約1.9万トン)に近づいている。
焦点となるのは、小規模経営者が多い定置網など日本沿岸の漁業分で、2007トンまでに制限する。日本沿岸を6地域に分け、それぞれに過去の漁獲実績に応じて計算した上限を設ける。
九州西部が785トン、日本海北部が410トン、太平洋北部が285トンなどとする。漁獲量が上限に近づくと警報を出したり、操業自粛を求めたりして漁業者に協力を要請する。地域別に漁獲枠を設けるのは初めて。
法人形態が主力の大中型漁船による巻き網漁も2000トンまでに制限する。ただ、巻き網漁は国際的な取り決めに従い、年間の総漁獲量を段階的に減らしており、13年は1649トンまで減少した。今回の規制の実質的な影響は軽い。
東京・築地市場の取引価格は13年平均で1キロ1100円程度と5年ほど前の1.5倍程度に上昇している。足元では不漁が続いており、漁獲枠設定が供給減少に直結するわけではない。ただ、豊漁になりそうな年があっても供給量は抑えられる。「小売り価格が下がりにくくなる一因」(マグロの流通業者)との見方が根強い。