新潟・城の山古墳で前方部確認 日本海側最北の前方後円墳に
新潟県胎内市にある前期古墳「城の山古墳」(4世紀前半)が日本海側最北の前方後円墳(全長約62メートル)であることが分かり、市教育委員会が12日、発表した。従来は直径約39メートルの円墳と考えられていたが、前方部が新たに確認された。日本海側の北限とされていた前方後円墳の菖蒲塚古墳(新潟市西蒲区)よりも約50キロ北上した。
城の山古墳から出土した武具と装身具の組み合わせが畿内の古墳と似ており、4世紀にはこの付近まで大和政権の力が及んだ可能性が高いとみられていた。
発掘指導した橋本博文新潟大教授(考古学)は「前方後円墳は位の高い人物の墓。副葬品だけでなく墳形などからも大和政権に重視されていた首長がいたと考えられる」と述べた。皮を使った副葬品が出ており、北方から伝わる皮革と大和政権の鉄を交換する交流拠点だった可能性を指摘した。
市教委によると、5~7月の調査で円墳の周辺が大きく削られていることが判明。10月に周囲の農地を発掘し、前方部の痕跡などを7カ所で確認した。堆積物の年代も円墳の周囲のものと同じだった。
前方部はやや短いタイプで長さ約23メートルとみられる。墳丘規模は新潟県で最大級という。
古墳には木棺が埋葬されていたと考えられており、人の歯も見つかっている。これまでに棺内から弓の他、靫(ゆき、矢入れ)、盤竜鏡などが出土。靫3点が保存処理を終え、報道陣に公開された。
日本最北端の前方後円墳は岩手県奥州市の角塚古墳、東北地方最大は宮城県名取市の雷神山古墳(全長約170メートル)。
12月7日には胎内市産業文化会館ホールでシンポジウムを開き、発掘成果などを発表する。〔共同〕