米、対ロ制裁対象を拡大 銀行・ガス最大手なども
欧州連合(EU)と米国は12日、相次いでロシアへの追加制裁を発表した。ウクライナ東部では同国政府と親ロシア派が停戦で合意し、ロシアも停戦に協力することを約束したが、欧米にはロシアに懐疑的な見方も根強い。ウクライナ東部の安定に向け、EUと米国はプーチン大統領周辺への圧力をかけ続ける構えだ。
【ワシントン=川合智之】米政府は12日、ロシアの国営ガス最大手ガスプロム、銀行最大手ズベルバンクなどに制裁対象を拡大したと発表した。
エネルギー産業ではガスプロムのほか、国営石油大手のロスネフチ、ガスプロムネフチ、スルグートネフチガス、国営石油輸送会社トランスネフチなどへの技術・サービス提供を禁じた。ロシアのエネルギー産業を巡っては、日本の商社や石油大手、米エクソンモービルや英BPなどがシベリアや北極海などで資源開発を進めていた。
金融ではこれまで制裁を科した銀行大手5行に加え、ズベルバンクにも米金融市場での資金調達を禁じた。ズベルバンクはロシア国内銀行の総資産の4分の1を占める最大手。制裁で資金調達コストが上昇すれば、投資が低迷し成長率の鈍化など悪影響が出る恐れが高まる。
ミサイルや銃、弾薬などを生産する国営防衛企業5社についても、米国内の資産を凍結し、米国企業・個人との取引を禁止した。
今回の制裁対象となった企業はプーチン氏と周辺の影響が強いと米政府はみている。
今月5日に親ロシア派武装勢力とウクライナの停戦が発効したが、ロシア軍は依然としてウクライナ領内に駐留しているとされている。米欧はロシアへの経済制裁を強化することで、早期撤退を促す。