法科大学院の入学者、定員の6割 過去最低を更新
文部科学省は8日、今春の法科大学院の入学状況をまとめた。入学者総数は2272人、全67校の定員に占める割合(充足率)は60%で、いずれも過去最低を更新。全体の91%にあたる61校が定員割れで、28校では入学者が10人未満だった。定員削減や統廃合が進んでいるものの、学生離れに追いつかない現状が浮き彫りになった。
文科省は統廃合を促すため、定員充足率や司法試験合格率の低い法科大学院への補助金カットを決めているが、学生の進級時に「共通到達度確認試験(仮称)」を設ける方針を新たに決めた。成績が悪い学生に法曹とは別の進路を勧めることも想定している。今年度中に試行したい考え。
2014年の法科大学院全体の定員は3809人。最も多かった05~07年(5825人)と比べると3割以上減った。入学者数の全体は13年より426人減り、定員充足率は3ポイント低下した。定員割れの学校が全体の9割を超えたのは2年連続。
定員充足率が低い法科大学院は東海大(3%)、新潟大(5%)、神奈川大(8%)、愛知学院大(10%)、北海学園大(12%)など。東海大と新潟大は入学者が1人で、いずれも15年春から学生募集を停止すると発表している。
充足率が100%を超えたのは千葉大、首都大学東京、一橋大、筑波大、京大、大阪大の6校。そのほか東大(93%)や神戸大(96%)、中央大(88%)、慶応義塾大(87%)など司法試験の合格率が比較的高い法科大学院に人気が集中する傾向が鮮明になっている。
法科大学院はピーク時に74校あったが、1校が廃止、15校が募集停止を表明しており、現時点で58校まで減る見通し。