日米、核不拡散協力で合意 プルトニウムの一部返還
日米両政府は24日、オランダでの核安全保障サミットで、核不拡散に向けて協力することで合意し、共同声明を発表した。安倍晋三首相は24日午後(日本時間25日未明)、同サミット全体会合で演説し、東京電力福島第1原子力発電所事故の教訓などを踏まえ、原子力の安全管理や核テロ対策に全力を挙げる方針を表明した。
首相は「日本には核セキュリティー強化を主導する責任がある。私自身が先頭に立って進める」と強調。プルトニウム返還に関し「日米協力の下、代替燃料を用いて最先端研究を行い、核テロ対策と研究開発を両立する」と訴えた。
テロへの悪用を防ぐため、日米が率先して核不拡散に取り組む姿勢を示した。
共同声明は、日本の研究炉から出る使用済み核燃料の受け入れを米国が今後も継続することなどを明記した。
日本は保有するプルトニウムのうち、日本原子力研究開発機構の原子力科学研究所(茨城県東海村)にある高速炉臨界実験装置で使うプルトニウムと高濃縮ウランを全量米国に返還する方針。実験装置は現在は稼働しておらず、再稼働する際には軍事的に利用しにくい燃料の提供を受ける見通し。
日本原子力研究開発機構が保有するプルトニウムは研究用のため純度が高い。こうした高濃度のプルトニウムは核兵器に転用できる。高純度のプルトニウムが8キロ程度あれば核爆弾ひとつを製造できるとされ、単純計算すれば返還するプルトニウム約300キロは約40発の核爆弾に相当する。
(ハーグ=原克彦、永井央紀)