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丸亀製麺の天ぷら定食専門店、高級感で関西で大人気

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日経トレンディネット

揚げたてを提供する天ぷら定食専門店「まきの」が関西で人気を集めている。2013年10月にオープンした神戸三宮のセンタープラザ店は、昼どきともなると近隣のビジネスパーソンが並び、行列のできる店として評判だ。日本一長い大阪・天神橋筋商店街にある天神橋四丁目店も、地元客や観光客が来店し、大勢の客でにぎわう。天丼専門店のように狭い店内で1人黙々とご飯をかき込む雰囲気ではなく、家族や友人、同僚と会話しながら楽しく食事を楽しむ光景が印象的だ。

運営するのは、うどんのファストフード業態「丸亀製麺」を展開するトリドール(本社神戸市)。基幹ブランドの丸亀製麺のほか、焼き鳥「とりどーる」など現在、国内に847店舗を展開する(2014年3月末時点)。2011年からは海外にも進出し、中国、タイなどに61店舗を出店。2014年6月に東京・神田錦町にオープンした「鹿屋アスリート食堂」にも資本参加している。

その同社が丸亀製麺のビジネスモデルに近い天丼業態ではなく、天ぷら定食専門店を出店した狙いは何か。

目の前で天ぷらを揚げ、一品ずつ提供

まきの天神橋四丁目店は天神橋筋商店街に面しており、店構えは一般的な飲食店の印象だ。店内に入るとオープンキッチンと長いカウンター席(20席)があり、テーブル席はわずか4席。客は目の前のキッチンで調理された天ぷらをカウンター席で食べるスタイルになっている。しかも店内は上質感のある落ち着いた内装で、従業員数も思いのほか多い。一見すると、高級なカウンター割烹(かっぽう)や天ぷら専門店の雰囲気さえ漂う。

オープンキッチンには高級感のある天ぷら鍋をほうふつとさせる大きなフライヤーが2つ、カウンターごとに置かれている。スタッフが目の前で食材を衣液にくぐらせて鍋に入れ、一つひとつ丁寧に揚げていくさまはベテランの天ぷら職人のようだ。

4つのかき揚げを一度に揚げられる専用揚げ器は丸亀製麺で独自に開発したもの。着席して料理が提供されるまで、従業員のスピーディーな動きや天ぷらをカラッと揚げる様子を見ているだけでも飽きなかった。

実はこうした演出も同店のウリの一つ。天ぷら専門店の臨場感を演出し、目の前で視覚的にアピールすることで、客は料理の価格以上の満足度を得られるというわけだ。

「この考えは丸亀製麺と同じ。店頭に製麺機と釜をしつらえ、製麺所の風情を表現している。製麺機で麺を打ち、かまどで麺をゆで上げる様子を音や香りを含めて五感で楽しんでもらうのが狙い」と、同社マーケティング部広報・PR課の深堀俊輔課長は話す。

外食産業ではチェーン展開を図る場合、食材を事前に調理して店舗に納入するセントラルキッチン方式で効率化するのが一般的。料理の質を均一化でき、店舗スタッフの作業も軽減できるからだ。ところが、同社はセントラルキッチンを持たない主義。従来の外食産業のセオリーとは一線を画し、個店の良さを取り入れた戦略で差別化を図っている。うどんは店舗で打ち、焼き鳥も客の目の前で1本ずつ串打ちをするという。

さらにまきのの強みは、注文を受けてから天ぷらを一品ずつ揚げ、連続して揚げたてを提供する「都度揚げ方式」を取っている点。天ぷら鍋一つあたり最大10人の顧客に対応。各席のタイミングを見計らいながら順番に天ぷらを揚げ、できたてを客のトレイに載せていく。

「そうすることで臨場感とともにおいしさを提供できる」と営業本部まきの業態推進課の尾関友朗チーフマネージャー。カウンタースタイルにしたのも、天ぷら担当スタッフの手で直接提供できるからだ。ご飯も6台の炊飯器で時間を置いて炊き、常に炊きたてを提供できるよう工夫している。

なぜ690円で提供できるのか

メニューはエビ、イカ、鶏肉、ナス、野菜かき揚げの5種類を味わえる「まきの定食」のほか、「野菜天定食」「穴子一本天定食」「ご馳走天定食」など6種類。

客の5~6割が注文するまきの定食は、揚げたての天ぷらにご飯と味噌汁がついて690円とリーズナブル。天ぷら専門店なら1000円以上はする内容だ。自慢のかき揚げは丸くふっくらしていてサクサクでボリューム満点。とり天ぷらもしっかり味が付いていて白いご飯によく合う。おいしい天ぷらをお腹いっぱい食べてほしいという思いから、ご飯と味噌汁はおかわり自由だ。

リーズナブルな価格の秘密は、社内での一括仕入れにある。同店では使用する食材を丸亀製麺と共有することでコストを低減。ただ、天ぷらは食材の鮮度と味が生命線となるため、原価率は高めだ。丸亀製麺の天ぷらとは大きさや下味を変えるなど、ご飯に合うようにひと手間かける。「利益重視でコストを抑えるよりも、五感で楽しんでもらうなどいかに集客力を高めるかに注力している」(尾関氏)。

一番驚いたのは、接客。カウンター割烹のように常に客と対面するスタイルのため、調理担当者は客の食事の進み具合にも気を配らなければならない。茶わんのご飯や味噌汁がなくなれば「おかわりはいかがですか」と笑顔で声をかけ、客に呼ばれる前に温かいお茶を注ぎにいく。おかわりを口に出しにくい女性でも遠慮なくおかわりでき、満腹感と同時に満足感が得られるのも、同店の魅力といえるだろう。

「福岡の天ぷら定食文化」を丸亀製麺の次の柱に

うどん業態で成功した同社が、天ぷら定食専門店を始めたきっかけは福岡・博多にあった。博多には昔から天ぷら定食の専門店が多く、地元の食文化として根付いている。客の目の前で揚げた熱々の天ぷらとご飯、味噌汁を650~700円と手ごろな価格で提供する専門店は幅広い客層から支持されている。イカの塩辛などテーブルに用意された取り放題の総菜も特徴だ。

なかでも有名なのが「天ぷらひらお」。創業35年で県内に6店舗を展開。福岡空港に近い本店は地元客のみならず、出張族にも人気が高い。昼どきにはカウンター54席が常に満席状態で待合にも30~50人が並ぶ。

そのひらおのスタイルに感動した当時の担当者が新業態として立ち上げたのが、天ぷら専門店「まきの」だったというわけだ。その後、8年前に西神戸店、2013年5月に芦屋のラポルテ店を開業。試行錯誤を重ね、2013年10月22日に開業したセンタープラザ店で、現在の運営スタイルを確立した。天神橋四丁目店は2014年1月15日にオープン。現在、兵庫県内と大阪市内に4店舗を展開する。

天ぷら業態を立ち上げた背景には、基幹ブランド「丸亀製麺」に次ぐ第二の柱を育てる狙いもある。

丸亀製麺は2008年ごろから出店ペースを加速し、2013年まで年間100~120店舗と大量出店してきた。2014年3月期末で全国に847店舗まで拡大。セルフ方式の讃岐うどんチェーンとしては圧倒的な地位を築いたが、自社競合などで既存店の前年割れが続き、成長は鈍化している。

「外食産業は単一業態を多店舗化する時代から複数業態を運営する時代へと変わりつつある。基幹業態を安定化させると同時に、今後は1業態100店舗以内の業態も開発していく」と尾関氏。規模を拡大しなくても、天ぷらまきのには新しい飲食業態として大きなポテンシャルを感じているという。

客の評判は上々だが、今後の大きな課題も

センタープラザ店と天神橋四丁目店は、テレビのグルメ番組で紹介されたことがきっかけで来店客が増え、売り上げはおおむね順調だ。

センタープラザ店の場合、26席で1日440~450人が来店。多いときは500人に上ることもある。一方、天神橋四丁目店は若干客数が落ちるが、客単価はやや高い。11時15分すぎから満席になり、14時まで客は絶えない。最近は天満界わいの年配客が多く、リピーターも増えてきた。女性スタッフが多いこともあり、女性の一人客もかなり多いという。夜はサラリーマンやカップル客が仕事帰りに立ち寄る。

客の評判は上々だ。市内で飲食店を経営しているという男性客は「天ぷらの衣がサクサクで、イカも柔らかくておいしかった。いつも行列ができていて以前から気になっていたが、店内は従業員が多くて活気がある。機会があればまた来たい」と話す。

初めて来店した女性の一人客も「揚げたての天ぷらと行き届いたサービス、清潔感のある店内はホテルのレストランみたい。しかも値段が手ごろなので、どうやって経営しているんだろうと思った」と感心しきり。

ただ、クリアすべき課題も多い。エビやイカなど海鮮系の食材価格が高騰し、利益を圧迫。値上げせずに食材の品質を維持するとなると、仕入れやメニューなどの工夫が必要だ。新メニューの開発も、常連客を飽きさせないためにも欠かせない。

最大の課題は、店舗オペレーションの構築。現状でも軌道に乗ってはいるが、数十店のチェーン展開をするには人材の育成が重要になってくる。標準店舗の場合、客席24~30席に対して正社員1人とパートナーと呼ぶパート・アルバイトを合わせて約25人を想定。丸亀製麺と同じく全店直営のため、パートナー主体のオペレーション確立が喫緊の課題だ。

「セントラルキッチンで加工したものを使うのではなく、店舗で10人ものスタッフが手間ひまかけて作るのが同店のウリ。ただ天ぷらの場合、衣の固さを均一にするなど料理のクオリティーのコントロールが難しい。難度の高い技術が求められるが、プロの立ち振る舞いができるように教育していく。立ち上がりは3カ月かかったが、2カ月で育てられる体制を作りたい」と、尾関氏は話す。

発祥地の福岡でも、揚げたて天ぷら専門店のチェーン化に成功した企業はいまだかつてない。原価とオペレーションの問題を克服し、天ぷら定食業態を全国に広めていけるか。挑戦は始まったばかりだ。

(ライター 橋長初代)

[日経トレンディネット 2014年6月25日付の記事を基に再構成]

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