救命いかだは使用不能 韓国船沈没、発覚恐れ待機指示か
【ソウル=共同】韓国の旅客船セウォル号沈没事故で、甲板に設置されていた40以上の救命いかだのほぼ全てが使用不能で、乗員が事故前からそのことを認識していた疑いが強まっている。
船員らは沈没直前、船内放送で乗客に待機するよう指示し、犠牲者が拡大した。乗客が脱出を図ればいかだの欠陥が発覚するため、待機を命じた可能性があり、捜査当局は逮捕したイ・ジュンソク船長(68)らを追及している。
事故では4日、新たに12遺体が収容され、これまでの死者は248人、行方不明者は54人になった。
甲板には少なくとも42のカプセルに入った救命いかだが備えられていた。正常なら、カプセルを海に落とせば中からいかだが飛び出し、甲板に付いたまま水没すれば固定器具が自動的に外れ、いかだが海面に浮き上がる仕組み。しかし、沈没直後に浮かんできたいかだはなかった。
救助活動を行った韓国海洋警察の警察官は、甲板からカプセルを海に落とそうとしたが、固定器具がさび付き、手で外せなかったとメディアに証言。この警察官は2つのいかだを足で海に蹴落としたが、うち1つは開かなかった。
海上交通管制センターは沈没前、いかだを使って乗客を助けるよう無線で指示したが、乗員は従わなかった。イ容疑者は「潮流が速く、乗客が流されると思って待機を指示した」と供述。乗員がいかだを使おうとした気配はなく、使用不能だと認識していた疑いが強まっている。