中間貯蔵用地を国有化 政府、15年稼働めざす
東京電力福島第1原子力発電所事故の除染で出た汚染土を保管する中間貯蔵施設の建設が動き出す。政府は11日、東電任せで遅れている除染の加速へ、原発周辺の土地を国有化するため、来年度予算に約1000億円を計上する方針を固めた。国が前面に出る姿勢を打ち出し、2015年1月の稼働を目指す。地元自治体から同意を得るには、用地の買収価格と地域振興対策がカギとなる。
石原伸晃環境相が同日、安倍晋三首相に具体案を説明した。最終候補地は福島県大熊町、双葉町、楢葉町を南北につなぐ国道6号より太平洋側の約20平方キロメートルの地域。
除染で出た土や廃棄物を保管する施設のほか、比較的高い放射性廃棄物の保管庫、草木や汚泥を焼却して容積を減らす施設などを建設。最大で東京ドーム23個分に当たる2800万立方メートルを30年ほど保管する。総事業費は1兆円を見込む。
広大な土地を確保することで、住民の不安を減らす緩衝地帯にするほか、施設完成までの仮置き場として活用する。一帯を買い上げることで住民間の補償格差が縮小し、施設ごとに飛び地で土地を購入するよりも用地取得が進むとみている。
石原環境相と根本匠復興相が14日に、福島県の佐藤雄平知事や3町長らと福島市内で会い、建設への同意を要請する。福島県と3町は受け入れるかの検討に入り、町議会や住民説明会などで、国に詳しい説明を求める。
地元が関心を寄せるのは、用地の買収価格と地域振興対策だ。土地代金は避難者の生活再建の原資になる。東電が賠償済みの土地をどう評価するかなどが焦点になる。
3町は施設の建設が住民の帰還断念につながり、復興の足かせになることを懸念している。建設予定地の周辺住民の反発もあり、振興策が求められることは必至だ。
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