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巨匠ゴダールは過激に美しく 3Dで新たな地平へ

カンヌ映画祭リポート2014(10)

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NIKKEI STYLE

すっぽかしの常習犯として知られる巨匠は、大方の予想通り記者会見をキャンセルし、カンヌに現れなかった。しかしパレ・デ・フェスティバルに届いた3Dの新作はコンペ部門のどの作品よりも過激で、美しかった。

ゴダールの新作、いきなり頭をぶんなぐられた感じ

21日に公式上映されたジャン=リュック・ゴダール監督の「グッバイ・トゥ・ランゲージ」。いきなり「ADIEU」(さようなら)という赤い文字が飛び出してきた。原色の文字が次々と現れるのは、ゴダール映画で毎度のことだが、3Dだと衝撃が違う。いきなり頭をぶんなぐられたような感じがした。

携帯電話をいじる人、本をめくる人が映る。どうやらこれは言語とコミュニケーションに関する映画らしい。20世紀の記録映像が次々と現れ、テレビの発明やメディアの変容が語られる。

既婚の女と独身の男が出会い、愛し合い、議論する。犬が街をさまよい、田舎をさまよう。そんな話の筋に、あまり意味があるとは思えない。ただ次々と現れる映像がどれも鮮烈で、そのどれにもまぎれもなくゴダールの刻印がある。

走っていく車、きらめく水面、葉を揺らす木々、女性のおしり、テレビ画面のノイズ、打ち寄せる波、夕日、道端の花……。過去の作品で見たようなおなじみのイメージの反復なのに、どうしてこんなに鮮烈なのか。

デジタル映像時代の「現実」とは

冒頭の文字の衝撃と同様、そこにも3D技術が反映していると思う。画面の立体感、奥行きが極端に誇張されているのだ。四角いはずの部屋が、ひし形にみえる。人間の頭は左右から押しつぶされ、ほほがこけ、鼻が高い。万年筆で字を書く手を上から撮ったショットは、指があまりに長すぎて、オランウータンの手みたいにみえる。どの形も明らかにゆがんでいる。

色彩も異様だ。花や葉の色が見ているうちに変化するし、部分によっては奇妙な発色をしている。同じ画面がカラーになったり、白黒になったりもする。

デジタル技術は、立体感も色彩もすべて数値化し、簡単に操作できるようにした。色も形ももはや絶対的なものはない。色が変化しようと、形がゆがもうと、それがデジタルイメージ上では「現実」なのだ。

1950年代末、ゴダールは手持ちカメラを抱えて、街頭に出た。画面がぶれようと、ぼけようと、そのまま撮って、それが現実なのだと知らしめた。いつもピントが合っていて、まったくぶれない方が不自然なのだ、撮影という行為自体が現実なのだ、と。

ひるがえってデジタル映像がちまたにあふれる今日の世界で、いったい何がリアルなのか。83歳のゴダールはそう問うている気がする。具体的な映像を通して、過激な問いかけをしながら、とてつもなく美しい。

「ザ・トライブ」 セリフ一切なし、ろうあ者が演じるリアルな空気

過激な作品といえば、21日に批評家週間で上映された「ザ・トライブ」には仰天した。監督はウクライナのミィロスラヴ・スラボシュピスキー。聴覚障害者の寄宿学校の生徒たちの暴力を描いた作品だが、登場人物がすべてろうあ者なので、一切セリフがないのだ。

演じているのはウクライナに住む実際のろうあの人々だという。当然、身ぶりだけですべてを表現する。そうすることが身についている。

サイレント映画と違って、セリフはないが音はある。自動車の音、地面を踏む足音、風の音。その場の空気はセリフがある映画以上にリアルに伝わる。

しかも全編をワンシーンワンショットで撮っている。カメラは常に引いた位置にあり、起こっていることをじっと観察するだけだ。誰かの顔にクローズアップすることはないし、誰かの視線から見た主観のショットもない。画面の緊張感はただごとではない。

描かれる学校の荒れ方はすさまじい。いじめ、売春、強盗、セックス、妊娠中絶、そして、おぞましいまでの暴力を淡々と冷徹に撮っている。22日、批評家週間のグランプリを獲得した。

シネフォンダシオン部門 平柳敦子監督「OH LUCY!」2位

22日、世界の映画学校で制作された短・中編を集めたシネフォンダシオン部門の受賞結果が発表され、平柳敦子監督「OH LUCY!」が第2位に選ばれた。日本人監督の同部門での受賞は初めて。平柳監督には次回作の製作資金として1万1250ユーロが贈られた。審査委員長はイランのアッバス・キアロスタミ監督。

授賞式後、平柳監督は「受賞したことで、長編制作に対する希望が開けた。映画学校の学生をサポートしてくれる映画祭は少なく、とてもありがたい。長編はこの後のルーシーがどうなるかがテーマ。いい脚本を書いて、がんばりたい」と語った。

(カンヌ=編集委員 古賀重樹)

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