政府内に次官級の監視委設置 秘密保護法案で首相
安倍晋三首相は4日午前、特定秘密保護法案を審議する参院国家安全保障特別委員会で、行政機関の長による特定秘密の指定の妥当性をチェックする機関として、関係省庁の事務次官級からなる「保全監視委員会」を設置する意向を示した。法案成立後、施行までに閣議決定により内閣官房に設けるとした。
首相は同委が行政機関の長による特定秘密の指定、解除、秘密の取扱者への適性評価の実施状況を点検すると表明。「首相がチェック機関としての役割を果たすのに資する組織」と位置付けた。
日本維新の会などは行政機関の長が都合の悪い情報を恣意的に特定秘密に指定する恐れがあるとして独立した組織をつくるよう要求していた。与党は維新、みんなの党との法案修正で第三者機関の設置検討を付則に盛ったが、首相が4日表明した関係省庁の事務次官級によるチェックがどの程度効果を持つかは不透明。維新の小沢鋭仁国会対策委員長は4日昼の党会合で、首相の保全監視委設置の答弁について「大変不十分だ。考えが違い骨抜きと言わざるを得ない」と批判した。
政府は保全監視委とは別に、特定秘密を指定する際の統一基準を議論する有識者会議を設ける方針だ。首相は「情報保全諮問会議」として法公布後速やかに置く意向を表明。特定秘密を記録した公文書の破棄の可否を判断する審議官級の「独立公文書管理監」を設ける考えも示した。
特別委は4日午後に委員会採決の前提となる地方公聴会をさいたま市で開く。野党は地方公聴会について与党が一方的に決めたと反発。民主、維新、みんな、社民の4党は欠席する。
自民、公明両党の幹事長・国対委員長は4日午前、都内のホテルで会談し、同法案を5日に特別委で採決し、会期末の6日までの成立をめざす方針を申し合わせた。ただ野党が法案審議を引き延ばした場合、成立に向け小幅の会期延長を検討することも確認した。