政府、保育への公費投入圧縮検討
政府は2015年度からの保育の新制度で必要になる公費の投入額について、消費増税で確保する財源が7千億円となることを前提に推計よりも圧縮する方針だ。保育の受け皿の整備や保育職員の処遇改善などに約1兆1千億円が必要になる見通しだが、4千億円の財源の追加確保にメドが立たない。削り込む対象などの具体策を3月末までにまとめる方針だ。
政府は待機児童の解消に向けた受け皿の整備を優先し、職員の処遇の改善や増員は見直しや先送りを検討する。
14日に示した保育サービス拡充に必要な費用の推計(17年度時点)は最大1兆1138億円のうち、同6865億円が保育士など職員の配置増や給与の引き上げといった「質の改善」にかかるとしている。
政府は保育所やこども園などを増やす「量的拡充」(必要額4273億円)の財源をまず確保する考えだ。保育の財源で固まっているのは消費税を10%に上げた場合の増収分7千億円だけで、「質の改善」に回るのは3千億円弱にとどまる。
政府推計では保育所で3歳児20人に保育士1人を配置するとの基準を、同15人に1人と引き上げて手厚くすると、700億円の費用と8千人の保育士が必要になる。これには「保育士不足を強める」との批判もあるため、基準引き上げを先送りする方向だ。自主的に保育士を確保した保育所に「加算」という形で費用を補助して、当面必要な公費の総額を圧縮することも検討する。