武器輸出、包括容認へ 政府が新原則を閣議決定
政府は1日の閣議で、武器輸出三原則に代わる「防衛装備移転三原則」を決定した。輸出を原則的に禁止し、必要に応じて例外を作ってきた従来の方針を改め、厳格な審査を経て条件を満たせば包括的に認める。中国による海洋進出など安全保障環境の変化に対応するほか、日本の防衛産業の海外進出を後押しする。
新原則は輸出できない例として「条約違反」「国連決議による禁輸国」「紛争当事国」を挙げた。その上で平和貢献や日本の安全保障に資する場合に限り、厳格な審査を経て輸出を認めるとした。輸出先が契約時とは異なる用途で装備を使ったり第三国に再輸出したりできるのは、輸出先が適正に装備を管理できる場合に限ると明記した。
前文には「防衛装備の適切な海外移転は米国などとの安全保障協力の強化や、日本の防衛生産・技術基盤の維持・強化に資する」と掲げた。輸出の可否を判断する審査手続きや情報公開の方法を定めた運用方針も、1日午前の国家安全保障会議(NSC)で決定した。
日本の安全保障に資する場合として国際的な共同開発や、他国との安保協力を推進するケースを想定している。海難救助や警戒監視を支援するための装備輸出を可能にしたことで、日本と同様に中国の海洋進出に直面するフィリピンやベトナム、インドなどシーレーン(海上交通路)沿岸国との関係強化も狙う。
北朝鮮やイラン、リビアなど12カ国ある国連禁輸国や、紛争当事国は禁輸対象とした。
安倍晋三首相は1日の閣議で、防衛装備移転三原則について「国民に理解をしてもらえるよう透明性をしっかりと説明できる新しい原則だ」と述べた。