規制委審査、老朽原発の火災対策重視 可燃ケーブル焦点
原子力規制委員会は4日、日本原子力発電の東海第2原発(茨城県)の再稼働に向けた安全審査の会合を開いた。同原発は1978年に運転を始め、これまで規制委に審査を申請した原発では最も古い。東海第2も含め、80年以前に運転を始めた古い原発12基では燃えやすい材質の電気ケーブルを使っている。規制委は火災対策を重点的に審査する方針を示した。
日本原電は5月に東海第2原発の審査を規制委に申請した。会合を開くのは同日が2回目で、規制委側が今後の審査の重点項目を提示した。審査官からは「ケーブルに傷や汚れがあっても防火塗料はきちんと塗れるのか」「放熱効率の低下など、防火塗料を塗ることで悪影響は出ないか」などと火災対策について懸念する声が上がった。
日本は80年、原発のケーブルに難燃性の材質を使うよう求める規制を導入した。ただ、それ以前に建設された12基は可燃ケーブルのままで運転を続けることも認めてきた。ところが昨年7月に導入された原発の新規制基準は、こうした老朽原発も含めて燃えにくいケーブルを使うことを強く求めている。
これら12基のなかで規制委の審査を受けるのは東海第2が初めてとなる。原発のケーブルは1基あたり1000キロメートル以上あり、すべて燃えにくいものに交換するのは非常に難しい。原電は交換しなくても、いま使っているケーブルに防火塗料を塗れば十分だと主張している。規制委がどう判断するかが焦点だ。
東海第2の審査結果は、同じように可燃ケーブルを使うほかの11基にも波及しそうだ。仮にケーブルの交換が必要と判断されれば、ほかの老朽原発でも大規模な工事が避けられなくなるためだ。
原発の運転期間は原則40年に制限され、延長には規制委の認可が必要になる。12基のなかでも特に古い7基は、運転延長の申請期限が来年7月に迫る。東海第2に厳しい判定が下れば、老朽原発の運転継続をあきらめて廃炉にする電力会社が相次ぐとの見方もある。