IEA閣僚理事会が閉幕 石油備蓄、新興国と協調
【パリ=竹内康雄】国際エネルギー機関(IEA)の閣僚理事会は18日、2日間の討議を終え、閣僚宣言を採択して閉幕した。IEA加盟29カ国は非加盟の中国とインドネシアと、石油供給に関する協力で合意した。緊急時に備え、石油を備蓄し、必要な場合は加盟国と石油の放出などで協調する。
IEA加盟国の世界の石油消費量に占める割合は4割強で中国とインドネシアが加われば6割近くに上昇する。世界的なエネルギー安全保障が強化され、市場の安定にもつながりそうだ。
IEAは石油の供給途絶など緊急時に備え、加盟国に石油純輸入量の90日分に相当する石油や石油製品の備蓄を義務付けている。産油国の政情不安などで石油供給が危機に陥った場合は、加盟国で協議した上で放出する。価格を安定させ、市場に混乱を引き起こさないための措置だ。
IEAは日米欧など主要先進国で構成するが、経済規模が年々大きくなる新興国は含まれていない。石油の供給が止まる危機に陥った際の対応には限界があると判断。IEA非加盟の新興国を巻き込み、世界のエネルギー安全保障の向上につなげる考えだ。
具体的には、IEAは中国とインドネシアと連携するため、定期的に対話をする仕組みをつくる。技術や情報を提供して備蓄体制の整備に協力し、データ収集や統計の質の向上などを支援する。危機時には石油の放出で協調したい考え。来年以降は、インドやブラジル、メキシコといった新興国の参加も促す方針だ。
IEAは「先進国、新興国に利点がある」と説明するが、中国とインドネシアの取り組みは、先進国と異なって義務ではない。実効性を持たせる仕組みにすることが今後の課題となる。
会議ではこのほか、第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)を前に、エネルギー分野でも地球温暖化対策を進める意志を示した閣僚声明を採択。省エネや再生可能エネルギーの普及を加速させることで一致した。