日仏、原子力協力を推進 首相会談
安倍晋三首相は5日、来日したフランスのバルス首相と首相官邸で会談し、原子力協力の推進で合意した。三菱重工業が経営再建中のフランス原子力大手アレバの原子炉製造子会社への出資を検討していることを巡り、バルス首相は記者会見で「日本の原子力産業がぜひ資本面でフランスの原子力部門の再構築に参加してほしい」と述べ、出資への期待を表明した。
会談でバルス首相は「フランス原子力産業界の再編は、日仏協力強化の機会を提供している」と述べたうえで、三菱重工など日本企業にアレバ子会社だけでなくアレバ本体への資本参加も呼びかけた。
三菱重工とアレバが新型の加圧水型軽水炉(PWR)「アトメア」の開発・販売で提携してきたことを踏まえ、協力の重要性を確認。日仏両政府が今後も両社の協力継続に関わり、第三国への原発輸出を推進していく方針を申し合わせた。
福島第1原子力発電所の廃炉に向け、仏関連企業を含む国際共同研究を進める方針で一致。エネルギーや自動車、医療分野などで企業同士の協力を活発にしていくことでも合意した。アフリカでの環境に配慮した開発やインフラ投資、エボラ出血熱対策など保健分野での協力強化も決めた。
安全保障分野では、防衛装備品を含めた安保分野での協力を検討していくことを確認した。安倍首相は11月末からパリで開く国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で議長国を務めるフランスに協力する考えを伝えた。
バルス首相の来日は初めてで、約70人の仏企業幹部が同行した。
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