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結婚は最高の財テク

NPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹(5)

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前回の記事(「あなたにしかできない仕事はない」)について、読者の皆さんからいくつかのコメントをいただきました。

多くあったのが「フローレンスは非営利組織(NPO)法人なのに、文章中でベンチャー企業と表現しているのはどういうことなのか」というご質問でした。これについてお答えできればと思います。

NPO法人と株式会社の違いは株主に利益を還元するかどうかであって、NPOも企業も実際の運営面では変わりません。NPOというとボランティア団体と勘違いされるのが日本ですが、赤字にせずに運営しなくてはならないという意味ではほとんど同じです。事業を行い、それによって社会的課題を解決するNPOを社会的企業、その手法をソーシャルビジネスと言うようになってきています。

フローレンスも社会的企業で、立ち上げ時はほとんどベンチャー企業と一緒でしたので、こういう表現をしています。

さて、前回も「立ち上げ時は忙しい」という話をしました。そして最近よく20代の後輩に相談されるのが「まだまだ一人前じゃないから結婚できない」というものです。では「一人前」っていつなるのでしょうか。

「一人前」っていつなるの?

「年収がだいたいこのくらいになったら……」。20代の彼は答えます。けれど、年収が上がる保証なんて、残念だけどどこにもない。今回はこうした若い人達に向けて語りたい。

一人前になるのを待つとどうなるか。結婚もできないし子どもも持てないのが現実です。男性はまだしも、相手の女性にはタイムリミットがあります。

そもそも、「一人前にならないと結婚できない」っていうのは嘘なんです。仮に年収1000万円以上が一人前だとしたら、20代男性の1%もいない。それを目指すのは現実的な選択肢とは言いがたい。

けれど夫も妻も正社員であれば、それぞれ年収300万円程度稼ぐことはある程度可能です。日本の平均世帯年収は550万くらいなので、2人合わせれば一気に日本の中流以上になれる。どちらか片方がパートでも、平均ちょっと下以上にはなれる。

だから、男性が「一人前」にならなくても、今すぐにでも結婚しちゃえばいいんです。ワーキングカップル化すればいい。

「大黒柱ヘッドギア」を外せ

そのために、僕は「まずその脅迫的な大黒柱幻想、『大黒柱ヘッドギア』を男は外せ」と唱えています。

その場合、妻にも働き続けてもらわないといけないので、妻が働き続けられるような環境を夫が率先して構築しなくてはならない。夜の9時、10時に帰ってきて「メシ」みたいなのは当然あり得ません。ちゃんと定時か、少しの残業で帰ってきて、妻とともに家事・育児を日常業務として行う。

実はその方が合理的で、なおかつ安全でもあります。まず、仕事が効率的になる。グダグダ残業することがなくなります。これは前回お話しした通り。

そして妻が働き続けていたら、もしものときも安心です。もし男性だけが働いている状態で、会社が倒産したりリストラ対象になったら相当つらい。この場合、妻は夫に「仕事は絶対にやめないでね」と襟首つかんで説得せざるを得なくなる。

でも妻が働いていてくれたら、とりあえず妻に一馬力で働いていてもらって、その間に夫が就職活動することもできます。働く妻は最高のセーフティーネットだし、最高の財テク(死語だけど)ですらある。

奥さんが働くことより利率のいい投資信託はないんですよ、実際。月々30万円稼いでくれる投資信託なんて、僕ら庶民はほとんどお目にかかれない。更に妻が働き続けるのと、結婚を機に仕事を辞めた時の生涯年収の差は1億円以上。だったら、家事育児くらいやろうよってことです。やってみたら特に育児は大変な時もあるけど、楽しいですよ。最高に。

もちろん、これは女性の立場でも同じこと。自分が風邪で寝てるのに「飯は?」なんていう家事育児能力のない夫に育成してしまうと、自分の体が動きにくくなった老後に、恐怖が待っています。

「家族を持つ=守りに入る」時代ではない

男性の中には「まだまだ攻めたいから結婚しない」という人もいます。攻める内容にもよりますが、一日中会社にいて、それが攻めにつながるのか。僕はもはやそういう時代じゃないと思います。我々の時代は、イノベーションを欲している。

長い時間働くことによってパフォーマンスが出るような製造業中心の時代であれば、会社に長時間いることは意味があったかもしれない。たくさんのものを安く作るには、サービス残業して単位当たりコストを安くするのは合理的だから。

けれど会社にしかいない人に、イノベーションを生み出せるのでしょうか。

なぜなら、技術の移り変わりなどにキャッチアップできないし、違う領域の人と話さないから視野が狭くなります。イノベーションは異質なものの組み合わせによってこそ、生まれるのではないでしょうか。一日中会社に住んで、帰りに飲み屋で会社の人とくだまいて……というコミュニケーションの回路しか持たない人は、イノベーションから最も遠いところにいる人だと思います。

そもそも、人生において「攻め」が仕事で、家族が「守り」って、昭和じゃないんだから。家庭を持って失うことなんて、何もない。僕はそう思います。夜中まで飲めるとか、たいした話じゃないでしょ、と。僕は夜中までの飲み会ってほとんど断っていますが、それで業績下がったことなんて一回もないです。

更に「家族を養うために、俺が会社のむちゃな要求を我慢する」的なスタンスは、本人にも会社にも、社会にとっても良くない。沈黙する社員は不正を温存し、いつかそれは致命的なダメージを会社に与えます。そしてブラック企業の増殖は、確実に社会をむしばむ。

幸福な家族を築くことは、懸命に働くことと矛盾しない。(和製英語だけど)ハードワーク、ハードライフでいけばいい。仕事に全力を尽くし、家族という最高の「チーム」を創ることにも、全力を尽くすのです。

「あなたが私を養って」志向の女性は「超高リスク案件」

どんな生き方をしても「みんな違ってみんな良い」のは当然前提ですが、大学等で講演すると、「どうせ結婚したら働かなくなるので、適当に勉強し、結婚まで適当に働ければ良い。だから年収高い人と結婚したい」という趣旨のことを語る女子学生と、しばしば会います。しかし僕ら男性からすると、そういう人は結婚するには「超高リスク案件」です。

男性側もいつ独立したくなるかわからないし、体を壊すかもしれない。そんなときどうしてくれるの、話が違う、と言われても困る。

こうした固定的に役割を決めてかかっている女性との結婚ハードルは、年々高くなるでしょう。それは結婚したいと思う女性達自身にとっても、マイナスです。女子学生達には、「相手の年収はいつだって変わり得る。世の中がどうなっても、いざとなれば2人で稼げば乗り切れる可能性が高い。だからしっかり学ぼう」と伝えています。

もちろん今の日本は、女性が働きたくても働き続けられない環境が大きいので、それ自体は国民全体として最も力を入れて改善すべき、非常に重要なテーマです。

そして逆に、「君には家にいてもらいたいな」と言い出す彼氏との結婚は、女性にとってはリスクです。「僕は君に家事育児を完全にアウトソースしたいです」という宣言に等しい。「子どもが小さいうちは、家にいてよ」も、「育児は全部頼むわ」を言い換えたにすぎない。彼が今後40年近く、絶対に失業も病気も心変わりもしない、ということであれば人生を預けるのも合理的でしょうが。

「やらないリスク」と「やるリスク」

次に質問のあった、NPOを始めるリスクをどう考えたらいいのでしょうか。

NPOを立ち上げるとき、生活の不安はすごくありました。僕の場合、その前はITベンチャーの社長でした。続けていたらそれなりにお金持ちになれたかもしれない。NPOというわけのわからない形で食べていけるかどうかは未知数でした。不安で不安で、今振り返ってもあのときの精神状態は異常だったと思います。

しかし、やらなければ一生「あのときやっておけばよかった」と、もう1人の自分から責められ続けると思いました。やらないリスクと、やるリスク。てんびんにかけたら、僕にはやらないリスクのほうが大きかったのです。

ダメなら自衛隊に入ろうと思いました。3食ついて、寝るところもあって、給料ももらえるということで。

塾講師の道もあった。大学時代、塾講師のアルバイトをしていたのですが、結構子どもたちに好かれていました。時給も割とよくて3000円だった。だからうまくいかなければ自衛隊か塾の先生になろうと思っていました。どちらにしても、死ぬ訳じゃないと思ったんです。

起業経験は企業も重宝

今、起業したいと考えている人たちのなかには、生活の不安から二の足を踏んでいる人も多いでしょう。けれど、これからの時代は大きな会社に勤めさえすれば安心で安全という社会ではない。

自分を一生面倒みてくれる会社など、もはやありません。自分の勤めている会社がいつなくなるかわからないのに、その会社だけで通用する技術を身につけるのは危険すぎる。どんな世の中になっても生きていける、という力を身につけるほうがリスクヘッジになりうる時代です。

起業するほどガッツがある人は、会社に入っても重宝されます。新規事業をつくれる人は、そうそういないから。また「脱サラして一から」と覚悟して始めていた30年前や40年前から比べると、起業は随分リスクの低い選択肢になったと思います。アフター6や週末を利用して、WEBアプリを作ったり、Eコマースサイトを運営したり、小さく実験し始めれば良いのです。やりたいという人は、まずはそうした小さな一歩を踏み出してみましょう。

もちろん、起業するのが偉くて、しないとさえない、みたいなことは全くなくて、変な強迫感は持たなくて良いということは付記します。あくまで、誰かにとって格好良い自分ではなく、「自分にとってありたい自分」でいられるように。

※隔週火曜日更新。駒崎弘樹さんのコラムは次回、11月26日(火)に掲載します。

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