福島第1の地下水バイパス、610トンくみ上げ 放射性物質を分析
東京電力は15日、福島第1原子力発電所で9日に始めた地下水のくみ上げ現場を報道陣に公開した。12本の井戸から地下水をくみ取って建屋に流れ込むのを防ぎ、汚染水を減らすのが狙いだ。
東電は地下水をくみ上げて汚染されていないことを確認後に海に流す「地下水バイパス」計画を進めている。これまでにくみ取った地下水は610トンで、一時的にタンクに貯留。15日から地下水の放射性物質濃度の分析を始めた。
濃度が基準値を下回ることを確認し漁協などに説明したうえで、5月にも海に流す方針。同原発では1日約400トンの地下水が建屋に流れ込み、汚染水になっている。
汚染水の浄化装置「アルプス(ALPS)」も公開した。3月に一部で異常が発生し全3系統が停止。このうち1つは運転を再開、もう1つも近く再開する見通しだが、異常が起きた系統は再開のめどが立っていない。
相次ぐ汚染水トラブルについて、同原発の小野明所長は記者団に「(地下水の流入を防ぐ)凍土遮水壁の建設やタンクの増設で対策を強化する」と述べた。東電は社内分社で今月1日に廃炉や汚染水対策に当たる「福島第1廃炉推進カンパニー」を発足させている。