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大学の専攻に原因? 女性管理職、日本はなぜ少ない

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NIKKEI STYLE

 「日本はなぜ女性管理職が少ないの」。就職が決まった女子大生が事務所を訪れた。「職場や就職での男女差別を禁じる法律ができて30年近くたつのに、もっと多くてもいいはずね」。所長夫人の円子は、探偵、深津明日香に調査を命じた。

安倍晋三政権は「成長戦略」に、女性の役員や管理職への登用拡大を盛り込んだ。「経済成長とどう結びつくのかしら」。明日香は昨年秋に話題になった国際通貨基金(IMF)のリポート「女性は日本を救えるか?」の筆者の一人で、現在は国連食糧農業機関(FAO)のエコノミストである中根誠人さん(37)に聞いた。

離職が多く昇進候補も減少

「少子高齢化が進むなかで日本の労働力は減っていきます。長期的な成長力を維持するには女性の力をもっと生かす必要があるのです」と中根さんは指摘した。

日本の女性の労働参加率は先進国では低く、管理職に占める割合も1割と、欧米の3~4割を大幅に下回る。中根さんらの試算では、労働参加率を2010年の63%から、30年に70%まで引き上げれば、1人当たり国内総生産(GDP)を何もしなかった場合より4%増やせるという。

明日香は、経済産業省と共同で、女性登用を積極的に進めている上場企業17社を「なでしこ銘柄」に選んだ東京証券取引所を訪ねた。日本取引所グループ調査グループ長の松尾琢己さん(44)は、「女性管理職の伸びなどを数値化し、業種ごとに選びました」と説明した。

欧米の投資家は銘柄選びの際に人材活用の多様性を考慮する傾向がある。男性ばかりなど構成が偏ると、環境変化への対応が遅れるとの見方があるためだ。「上場企業には女性役員の有無などを投資家向け報告書に記載するよう勧めています」という。

「企業も女性の活躍を求めているはずなのに、どうして登用が進まないのかしら」。明日香は経済同友会の副代表幹事でG&Sグローバル・アドバイザーズ社長の橘・フクシマ・咲江さんを訪ねた。「企業や国のマインドセット(考え方)を根本的に変える必要があります」とフクシマさん。女性支援策に注目が集まりがちだが、「例えば"男性が育児をする権利"をもっと尊重すべきです」という。

厚生労働省の調査では、総合職で入社した女性も、10年後には65%が辞めていた。男性の29%よりもずっと多い。明日香は「妻が育児休暇をとりやすくても、夫が会社に縛られていては、子育てを分担できず働き続けられませんね」とうなずいた。

オランダでは、男女とも短時間勤務をしやすい制度を整えたことで、男性の育児参加や女性の登用が進み、経済停滞からも抜け出せたという。フクシマさんは「"女性支援"ではなく"男女支援"が重要です」と強調した。

「女性が働き続けられる環境ができれば、すぐに管理職も増えるかしら」。明日香が厚労省を訪ねると、雇用均等政策課の政策係長、越沼綾乃さんが「そもそも職場に候補女性が少ない可能性があります」と調査結果を差し出した。女性管理職がいないか少ないという企業に理由(複数回答)を聞くと、「現時点では必要な知識や経験、判断力を有する女性がいない」という回答が54%と最も多かったという。離職率の高さに加え、入社の段階で総合職より一般職などを選ぶ女性が多いことも影響しているようだ。

大学の専攻、仕事に不利

「企業が変わるだけでは不十分なのかも」。明日香が事務所で腕組みしていると、遊びに来ていた"何でもコンサルタント"の垣根払太がヒントをくれた。「大学までの教育について調べてごらん。海外には男女の賃金格差のかなりの部分が学部の選択で説明できるという研究があるよ」

そこで明日香は経済協力開発機構(OECD)の調査を見てみると、日本は経済・ビジネス系や科学技術系の学部学生に占める女性の比率は加盟国中いずれも最下位グループであることがわかった。

明日香は女性の学部選択と就職・結婚の関係について経済学的に分析した大阪大学教授の石田潤一郎さんに意見を求めた。「女性が教育という"投資"をしても、出産や育児などで仕事を離れる時間が長いと成果を回収しにくいのです」と石田さんは指摘する。高所得の職に就くと結婚相手として敬遠される傾向があったことも影響した可能性があるという。「保育施設の拡充や男性の家事参加が進んで投資を回収しやすくなれば、学部選びも変わるはず」

明日香はキャリア教育に詳しい日本女子大学教授の大沢真知子さんを訪ねた。「若いうちにいろんな選択肢を試せないと自分が何に向いているかは分かりません。大学入学後に学部や学校を移ったり、就職後も大学で学び直して人事コースを変えられたりする仕組みも有効でしょう」と指摘した。

さらに大沢さんは「女性が選ぶ学部が偏る背景には、小中学校や家庭に男女が役割分担をする考え方がある影響もあるので、大学で自分の人生を切り開く教育をすることも重要です」と付け加えた。

「家庭教育の意識にも原因があるなら、すぐには女性管理職は増えないのでは?」と明日香は考え込んだ。

すると「私は01年度入社ですが、05年以降、会社の雰囲気は劇的に変わりましたよ」。大和証券のワーク・ライフ・バランス推進課の上席課長代理、村瀬理紗さん(35)が声をかけてきた。

同社では社長に鈴木茂晴さん(現会長)が就任後、育児休職の延長や保育施設の費用補助、短時間勤務制度などを矢継ぎ早に打ち出した。

会社を挙げて午後7時前退社など仕事と生活の両立支援に力を入れた結果、出産による退職は激減。グループの女性管理職比率は06年度の2.9%から12年度に4.8%に上昇した。生え抜き女性役員も09年に4人、11年には1人誕生した。

「今では周りに女性管理職が普通にいて、出産や子育てを経験した支店長もいます。女性社員のロールモデル(お手本)が増えて働きやすくなりました」と村瀬さん。明日香は「トップが本気になれば大きな組織も変わるのね。それが若い世代にも見えれば学生時代の選択にもいい影響が出るはず」と納得した。

事務所で報告を終えた明日香が「私のお手本は……」と円子に目をやると、「私じゃなくて彼女かもよ」。子どもをあやしながら鋭い目でネズミに狙いを定めるネコの三毛を指さした。

(松林薫)

[日経プラスワン2013年6月29日付]

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