50年後も人口1億人目標 政府有識者委
出産支援「倍増を」
経済の中長期の課題を話し合う政府の有識者委員会「選択する未来」は13日、「人口減少の解決が急務だ」と提言する中間報告書をまとめた。このままでは50年後に8000万人台に落ち込む日本の人口を、1億人で維持するよう目標の設定を求めた。高齢者対策が中心だった政府予算も「子どもへ大胆に移すべきだ」と指摘。出産や子育て支援の財政支出を倍増するよう促した。
同日の会議で甘利明経済財政・再生相は報告書を「骨太の方針(経済財政運営の基本方針)に反映させたい」と述べた。政府が人口維持の明確な目標を打ち出すのは初めてとなる。同会議は経済財政諮問会議の下に今年1月に置かれ、三村明夫日本商工会議所会頭を会長として50年後の日本経済の課題を議論した。
報告書では現在進む人口減少を放置すると、国内市場が縮小し、投資先としての魅力が低下し、経済規模の縮小がさらなる縮小を招く負の連鎖に陥ると警鐘を鳴らした。高齢化で社会保障給付費が増えて財政が破綻するリスクも高まると強調した。
2010年に1億2806万人だった日本の人口は60年には8674万人に減る見込み。人口1億人を維持するために、女性が生涯で産む子どもの数である合計特殊出生率を、現在の1.41から2程度に引き上げる必要がある。提言では、第3子以降に手厚い出産・教育・育児の支援を進め、少子化社会からの脱却を進めるよう求めた。
活動的な高齢者が今後増えることも踏まえ、70歳までを働く人(新生産年齢人口)と定義し直すことも提案した。65歳で現役を引退するのではなく、年齢を重ねても経験や能力を生かして働ける社会をつくるよう求めた。
人口減少や高齢化、東京圏への人口流出で、地方自治体の4分の1が消滅する可能性があるとも指摘した。地方を再生するため、コンパクトシティの取り組みや、地方中枢都市圏の形成など、地方都市の集約を実施し、活性化を図る方策を探るべきだとした。