対シリア安保理決議案、週内合意めざし詰め
【ニューヨーク=中山真】国連安全保障理事会の米英仏中ロの常任理事国5カ国は25日、シリアに化学兵器全廃を求める安保理決議案の採択を目指し、詰めの協議を続けた。焦点となっている化学兵器の廃棄が進まない場合の措置に関しては、武力行使を含む拘束力のある幅広い制裁を可能にする国連憲章7章に言及する方向で調整しており、早ければ週内に合意する可能性もある。ただ、決議案の形式を巡り米ロなどの見解にはなお隔たりも残っているもようだ。
5常任理事国の外相は25日、国連本部で潘基文(バン・キムン)事務総長を交えて会合を開き、決議案の早期提出を目指す方針で一致した。これに先立ち、ケリー米国務長官はフランスのファビウス外相と会談し、強力で拘束力があり化学兵器の廃棄を確実にする文言を決議案に盛り込むべきだとの認識を確認した。
ロイター通信は25日、5常任理事国が決議案の内容を巡り大筋で合意したと報じたが、米ロ両国は報道を否定。米政府高官は決議案を巡る調整で一定の進展があったと認めたものの、なお文言を巡る調整が必要との認識を示した。
一方、ロシアのガチロフ外務次官は同日、決議案は週内にもまとまるとの見通しをAP通信に示した。具体的な文言については、国連憲章7章に言及するが、化学兵器の廃棄が進まなかった場合に7章に基づく措置を自動的に発動するものではないと説明。制裁発動には新たな決議案が必要になるとの認識を示した。
米英仏は、シリアに化学兵器の廃棄義務を確実に履行させるため、履行を怠った場合は国連が憲章7章に基づく制裁措置を発動できるようにすべきだとの立場を崩していない。ただ、アサド政権を支持するロシアは、義務違反が明確になった段階で改めて制裁を発動するための決議案を採択すべきだとの意見を主張しているとみられる。