「建築界のノーベル賞」に坂茂さん 紙の住宅評価
【ロサンゼルス=共同】建築界のノーベル賞といわれ、優れた建築家に贈られる米プリツカー賞の今年の受賞者に、紙の筒など低コスト材料を使った住宅などを設計し国際的に災害支援の建築を手掛けてきた日本の坂(ばん)茂さん(56)が選ばれた。同賞を主宰するハイアット財団が24日発表した。
日本人としては安藤忠雄さんや伊東豊雄さんらに続き7人目。同財団は「創意工夫に富んだ設計を顧客に対してだけでなく、人道的取り組みの中でも広く行ってきた」とし「20年間、世界中の被災地を回り、住民らと協力して低コストで再利用可能なシェルターや住宅を設計・建築した」と評価した。
坂さんは「機能的で住み心地が良く、美しい建築を被災者の人たちに提供しようと努めてきた。活動を評価していただき勇気づけられた」と述べた。授賞式は6月13日、オランダのアムステルダム国立美術館で行われる。
坂さんは1957年、東京都生まれ。94年、ルワンダ難民のために紙の筒「紙管」でつくったシェルターを提案。95年の阪神大震災でも紙管の仮設住宅などを提供した。同年、非政府組織(NGO)「ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)」を設立、被災地の住宅支援を続けてきた。
2011年のニュージーランド地震では被災地クライストチャーチで損壊した大聖堂に代わる「紙の大聖堂」を設計。東日本大震災では避難所の間仕切りシステムを考案した。
代表作はフランスの「ポンピドーセンター・メッス」など。11年から京都造形芸術大教授。