南スーダン、内戦の懸念強まる 戦闘が各地に広がる
【カイロ=押野真也】アフリカの南スーダンで、内戦に突入する懸念が強まっている。政府軍と反大統領派との戦闘が激化し、多数の死傷者が発生。国連施設や米軍機が攻撃を受けるなど、情勢が悪化している。周辺国による調停外交も活発になっているが、戦闘は各地に広がっており、停戦が実現するかは不透明な情勢だ。
戦闘は12月15日、首都ジュバで発生。7月にキール大統領に解任されたマシャール前副大統領が指揮する反大統領派と、政府軍との戦闘が続いている。一連の戦闘で政府軍は国内の一部で支配地域を失っているようだ。
マシャール前副大統領は21日までに、東部ジョングレイ州の州都ボルだけでなく、油田地帯である北部のユニティ州を掌握したと明らかにした。これが事実であれば、歳入の8割以上を原油収入に依存する南スーダン政府にとっては大きな打撃となる。
今後、油田地帯を巡って激しい戦闘が起き、内戦に発展する可能性もある。周辺国は懸念を強めており、介入に乗り出している。すでにケニアやエチオピア、ウガンダなど周辺国の外相がジュバ入りし、キール大統領と会談した。
キール大統領は周辺国の外交団に「対話の用意がある」と述べたと伝えられるが、マシャール前副大統領が応じるかは不透明だ。両者は異なる民族出身で、権力争いが解任の背景にあったとみられ、両者の確執は根強いとの見方が多い。
南スーダンの近隣国では、中央アフリカやコンゴ(旧ザイール)など、情勢不安が続く国が多い。南スーダンが内戦に陥れば地域情勢の安定がさらに揺らぐことになる。産油国でもあるだけに、原油の国際価格にも影響を与える可能性もありそうだ。