経常黒字6半期ぶり増、円安で海外収益増 4~9月
財務省が11日発表した2013年度上半期(4~9月)の国際収支速報によると、モノやサービス、配当、利子など海外との総合的な取引状況を示す経常収支の黒字額は前年同期比10.7%増の3兆548億円になった。黒字額が増えるのは6半期ぶり。円安進行で企業などの海外での投資収益が過去最大に膨らみ、燃料など輸入増による貿易赤字の拡大を補った。
ただ、上半期の黒字額としては、比較可能な1985年以降、12年上半期に次ぐ歴代2番目の低さ。海外で稼ぐ力の回復にはまだ遠い状態だ。
上半期の貿易収支は4兆6664億円の赤字となり、半期ベースで過去最大だった。輸入は前年同期比14.5%増の38兆5101億円。原子力発電所の再稼働の見通しが立たない中で、火力発電の燃料となる液化天然ガス(LNG)や原油など燃料がいずれも1割強増加。台湾や中国からの太陽光パネル部品の輸入も増えた。輸出は9.2%増の33兆8437億円。自動車などを中心に中国や北米向けが8~17%増えたが、補えなかった。
一方、海外投資から得られるもうけを示す所得収支の黒字は同19.6%増の8兆9950億円となり、過去最大になった。昨年秋以降の円安進行で、日本企業が海外子会社から得る配当や利子の円換算額が大幅に増え、海外直接投資収益が過去最大の3兆円強(同3割増)に膨らんだ。外国の株式や債券からの投資収益も同16%増えた。
旅行や特許などを中心とするサービス収支は7848億円の赤字で5半期ぶりに赤字幅が縮んだ。円安効果などで日本に訪れる外国人客数が増え、旅行収支の赤字幅が縮小したことが寄与した。
同日発表した9月の経常黒字は前年同月比14.3%増の5873億円だった。燃料費の増大で貿易収支の赤字は拡大したが、所得収支の黒字拡大で補った。