「報道の自由に配慮」明記 秘密保護法の政府原案
「知る権利」は盛らず
政府は26日、秘密を漏らした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法の原案を自民党の検討チームに提示した。原案は与党内の意見などを踏まえ「報道の自由」に配慮すると明記。国民の「知る権利」は、特定秘密に指定された場合も情報公開法の対象になることから明文化しなかった。
原案は「適用にあたって報道の自由に十分配慮する」とうたった。「拡張解釈して国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならない」とも記した。
政府は10月召集の臨時国会に特定秘密保護法案を提出する方針。原案をもとに与党内での調整をさらに進め、10月中旬をめどに最終的な法案を取りまとめたい考えだ。
政府が3日から約2週間にわたって実施したパブリックコメントは、約9万件の意見が寄せられ、暫定集計では反対が約77%、賛成が約13%にとどまった。反対意見には「国民の知る権利や報道の自由が侵害される」との指摘が多かった。
公明党も報道の自由や国民の知る権利の明記を求めていた。菅義偉官房長官は法案に盛り込むことを前向きに検討する考えを示していた。
原案は、特定秘密を取り扱う公務員や政府から委託を受けた民間企業の従業員などが秘密を漏洩した場合「10年以下の懲役」とした。公務員らに秘密を漏洩するようそそのかした場合も「5年以下の懲役」とした。
秘密を取り扱う公務員らに犯罪歴や薬物依存がないか調査する適性評価を実施する規定を設けた。本人と配偶者、親、子、兄弟、同居人の氏名や住所、国籍などの個人情報を提供させる。