川内原発、再稼働時期に遅れも 九電の申請書に不備42件
原子力規制委員会が優先的な審査を進めている九州電力の川内原発1、2号機(鹿児島県)の再稼働時期が遅れる可能性が出てきた。規制委は8日、九電が4月末に提出していた申請書に42件の不備があるとして再提出を求めた。不備の大部分は単純な記載漏れだが、九電側の対応が遅れれば、8月の電力需要のピークに再稼働が間に合わない可能性もある。
不備は「竜巻対策」「火災対策」など27分野の42件。建屋の火災対策のために設ける耐熱壁の構造、原子炉制御室の換気設備の設計方針などが記載されていなかった。
不備の大半は、すでに審査会合では規制委から了承を得ている項目だ。このため九電側の再提出にそれほど時間はかからないとみられる。また、不備があったのは約7200ページある申請書のごく一部。九電の修正作業と同時並行で、規制委が合格証明書にあたる「審査書案」づくりを進めることも十分可能という。
ただ、電力会社が規制委に提出する申請書は「設計の基本方針」「工事計画」「運転管理体制」の3種類があり、九電が提出済みなのは今回不備を指摘された「基本方針」だけ。九電は残りの2種類を5月末に提出する予定だったが、「基本方針」の修正に時間がかかれば、残る書類の提出も遅れる可能性がある。
規制委による最終的な合格判定には3種類すべての申請書が必要だ。また、合格のあとには機器の検査や地元自治体の同意手続きも待ち構える。九電の瓜生道明社長は4月30日の会見で「不確定要素が大きいのは確か」と語っている。地元同意の手続きも複雑になりそうで、今夏の再稼働が実現するかは微妙だ。
関連企業・業界