イラン核問題、合意できず 20日に再協議
【ジュネーブ=原克彦】イランの核開発問題を巡る同国と米中ロなど6カ国の協議は10日未明(日本時間10日朝)、合意に至らず終了した。11月20日に再びジュネーブで協議する。イランがウラン濃縮活動を縮小する見返りに米欧が経済制裁の一部を緩和する方向で調整していたが、当面の核関連施設の扱いや、制裁緩和の規模などで溝を埋められなかったとみられる。
7日に当初2日間の予定で始まった今回の協議には、8日から米国のケリー国務長官ら各国の外相が順次参加。9日にはロシアのラブロフ外相を含め6カ国の外相・外務次官がそろい、深夜から10日未明にかけてイランのザリフ外相と閣僚会合を開いたが、双方が目指した「第1段階」の部分合意には至らなかった。
協議では米欧がイランの国外金融資産の凍結解除など限定的な制裁緩和を提示した一方、イランは同国の収入源である原油輸出の解禁も求め、双方が譲らなかったもよう。協議終了後に記者会見したザリフ外相は結果について「不満はない。次回に向け土台を築いた」と述べた。
協議では特にフランスのファビウス外相が妥協に強く反対したとされる。同外相は9日のラジオ番組で、イランが西部アラクで建設中の重水炉に問題があると指摘していた。アラクではいずれ重水炉からプルトニウムが抽出できるようになることが懸念されている。
イランと米国は互いに国内に強硬派を抱えることから、強硬派への説得材料となる部分合意を急いでいた。イランは11日に国際原子力機関(IAEA)との協議も控えている。
イランの核開発疑惑は2002年に反体制派の暴露で判明。イランがウラン濃縮に使う遠心分離機の増設を進めるなど核兵器開発と受け止められる活動を進めたことから、国際社会は米国主導で厳しい経済制裁を科してきた。
制裁の影響で経済が疲弊したイランは今年8月に保守穏健派のロウハニ師が大統領に就任したのを機に、米欧との関係を改善する方向へと軌道修正。9月にはロウハニ大統領とオバマ米大統領が電話で協議するなど、対話の機運が高まっていた。