新種の恐竜卵殻化石を発見 兵庫・丹波、世界最小級
兵庫県立人と自然の博物館(三田市)は29日、同県丹波市山南町にある約1億1千万年前(白亜紀前期)の「篠山層群」から5種類の恐竜の卵殻化石が見つかり、うち1種類が新種であると発表した。日本国内で鳥類の卵殻化石の新種が確認された例はあるが、恐竜卵殻化石で新種と分かったのは初めて。
表面の特徴的な模様などから、体重15キロ程度の獣脚類という恐竜の卵である可能性が高いという。恐竜の卵としては世界最小クラスで重さ約100グラムとみられる。殻の破片の大きさは最大で約7ミリ。2層構造で厚みは0.44ミリだった。
学名は日本で発見されたことやギリシャ語で「卵の石」を意味する語にちなみ「ニッポノウーリサス・ラモーサス」とした。
博物館によると、小型恐竜は骨が残りにくく、進化過程を知る上で貴重な資料となりそうだ。
カナダのカルガリー大大学院博士課程に在学する田中康平さん(29)らの研究グループが論文にまとめ、同日付で国際学術雑誌に掲載された。
恐竜のものとみられる卵殻化石の発見例はこれまで石川県白山市、福井県勝山市、岐阜県高山市で報告されている。
博物館は2007年1月から11年2月の発掘調査で、90点の卵殻化石を発見。顕微鏡で表面や断面を分析した結果、5種類の卵の殻が含まれることが判明した。新種以外の4種類は重さ30~135グラムと推定され、いずれも小型の鳥脚類や獣脚類という恐竜の卵とみられる。このうち3種は国内では初めての発見。
田中さんは「恐竜の繁殖行動を知る手掛かりになる。分析を進めることで、恐竜の進化をより深く解明できるのではないか」と話した。
化石は7月21日から8月31日まで、人と自然の博物館で展示される。〔共同〕