東電、柏崎6・7号機以外も申請準備 再稼働審査
東京電力は27日午前、柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)6、7号機の再稼働に向けた安全審査を原子力規制委員会に申請した。規制委は10月から審査に入る予定。東電は来春の稼働を目指す。広瀬直己社長は茂木敏充経済産業相に申請の経緯を報告し「これからがスタートという思いだ」と述べた。さらに記者団に対し、柏崎刈羽のほかの原子炉の審査申請についても「準備が整えば手続きしていく」と語った。東電の経営再建を左右する原発再稼働に向けた手続きが動き出した。
東電の姉川尚史常務執行役が規制委の事務局である原子力規制庁を訪れ、6600ページの申請書を提出。津波を防ぐ防潮堤整備や電源の多重化、緊急時の対応設備充実などの安全対策を示した。
過酷事故時に放射性物質放出を抑えながら原子炉格納容器の圧力を下げるフィルター付きベント(排気)装置の追加など、新潟県の要望に沿った対策も盛り込んだ。追加するベント装置は今後詳細を詰めて、追って書類を提出する。
柏崎刈羽原発は事故を起こした福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)と呼ぶ原子炉。原発再稼働をめぐっては、7月に関西、九州、北海道、四国の4電力会社が6原発12基の審査を申請済みだが、これらはすべて加圧水型軽水炉(PWR)。柏崎刈羽原発はBWRとして、規制委の審査を受ける初のケースとなる。
申請後に広瀬社長は茂木経産相と会談。茂木経産相は「地元の理解を得ることが何より重要。新規制基準をクリアするだけでなく、より安全性を高める努力をしてほしい」と語った。
広瀬社長は経産相との会談後に記者団の質問にこたえ、柏崎刈羽原発で停止中の1~5号機についても「準備が整えば手続きしていく」と再稼働に意欲を示した。さらに「防災計画は地元自治体、住民と協力して作っていく」と強調した。
東電は来年春の再稼働を目指すが、規制委の人手不足などの問題もあり、東電に対する審査がどう進展するかは見通しにくい。審査は少なくとも半年程度かかるとされる。対策不足や書類の不備が指摘され、長引く可能性もある。
柏崎刈羽原発は敷地内の活断層の有無も焦点になっている。東電は「断層は20万年前以降は動いておらず、活断層ではない」と主張しているが、規制委が根拠不十分として再調査を求める可能性もある。
規制委の審査を通過しても、実際に動かすときには、改めて新潟県の泉田裕彦知事の了解が必要となる。泉田知事は避難態勢の整備やフィルター付きベントの運用について地元の意向を尊重するように求めている。泉田知事は27日「県が申請を承認する際に付した条件については、真摯に対応していただいているものと受け止めている。原子力規制委員会においては地域の安全をいかに確保するかという視点で審査を行っていただきたい」とコメントを発表した。
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