海自艦衝突、釣り船右舷に衝突痕 GPS装置解析へ
広島県大竹市沖の瀬戸内海で海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」と釣り船が衝突し2人が死亡した事故で、第6管区海上保安本部は16日、釣り船の右舷に衝突の痕らしきものを確認したと明らかにした。釣り船にレーダーや全地球測位システム(GPS)装置が搭載されていたことも判明。6管本部は17日以降、詳細な実況見分を行い、事故当時の航跡記録などが保存されていないか調べる。
海自はすでにおおすみの航跡記録を提出しており、両船の詳細な航路を分析した上で事故原因の解明を目指す。
6管本部は16日、転覆していた釣り船をクレーン付きの台船で引き揚げ、広島市内の係留施設に搬送した。
海上で行った釣り船の実況見分では右舷に衝突の痕らしきものが見つかった。おおすみの左舷中央付近から後方にかけて筋状のこすったような痕が残っていたことが新たに判明。両船が並走する形で衝突し、こすってできた傷の可能性があるという。
6管本部は17日以降、実況見分で船体の傷などを詳しく調べるほか、釣り船に搭載されていたレーダーやGPS装置の解析も進める。おおすみの乗組員からも引き続き事故当時の状況について引き続き事情聴取する。
一方、海自呉基地(広島県呉市)は16日、おおすみの船体の傷を報道関係者に公開した。左舷中央部から後部に、横に擦ったような白い痕跡が水面から1~2メートル上に数カ所確認できた。
運輸安全委員会の横山鉄男・海事部会長は同日、同基地を訪れ、おおすみの船体の傷や艦橋からの視界など構造を確認した。部会長が事故調査のため現地を訪れるのは2011年8月に浜松市の天竜川で川下り船が転覆し5人が死亡した事故以来という。