福島第1汚染水漏れ、操作ミスか 東電が説明覆す
当初「弁の故障」と説明
福島第1原子力発電所のタンクから約100トンの高濃度汚染水があふれた問題で、東京電力は21日、タンクにつながる汚染水の配管の弁で操作ミスがあった可能性があると発表した。本来閉じておく弁が一時的に開いた状態になっていた。東電は汚染水の漏洩が発覚した当初、弁の故障と説明していた。
漏洩発覚後には問題の弁が閉じた状態に戻っていたことも判明。東電は弁が不自然に開閉した経緯について作業員から聞き取り調査をしている。
漏洩があったタンクを含む「H6」と呼ばれるタンク群につながる配管には、3つの弁が直列に取り付けられている。当時、H6タンク群に汚染水を移送する予定はなく、汚染水が流入しないよう少なくとも弁の1つは閉じているはずだった。
ところが19日午前11時ごろの写真では、3つの弁がすべて開いた状態になっていたことが判明。これ以前に誰かが閉じてあった弁を開き、開けてあった別のタンク群につながる配管の弁を閉じる操作を行っていた。
この結果、汚染水がH6タンク群へ流入。ほぼ満水だったタンクに流れ込んで上部からあふれ、雨水排水管を通って土壌に流れ出た。
弁は専用のハンドルを差し込んで開閉する構造。東電は弁が3つとも開いていた理由を「不明」としている。
さらに、漏洩が発覚した後の20日午前0時半ころの写真では、3つの弁の1つ「V347弁」が閉じた正常な状態に戻っていることも確認された。
東電によると、この間に弁を開閉した記録はないという。何者かがミスを隠すため弁を閉じた可能性もある。
漏洩は19日深夜に発覚。東電は当初、「V347弁」は閉じたままだったが、故障によって水が通る状態になっていたと説明していた。
福島第1原発の汚染水タンクでは昨年から漏洩事故が相次ぎ、東電はタンクを改修したり、タンクを囲むせきを造ったりと様々な対策を打ってきた。漏れを防ぐ機器や装置など設備面は整いつつあるが、今回の漏洩は人為的な要因が疑われ、運用面での課題も浮き彫りになった。