中国軍「日米機進入に対応」 防空識別圏で緊急発進
【北京=島田学】中国軍は29日、東シナ海上空に設けた防空識別圏(ADIZ)に米軍機や自衛隊機が進入したため、中国軍機が緊急発進(スクランブル)したと発表した。空軍報道官の談話として中国の通信社である中国新聞社が伝えた。23日の防空識別圏の設定以降、中国軍機のスクランブルは初めて。
中国空軍は談話のなかで、米軍偵察機2機と自衛隊機10機の進入が確認されたとした。空軍は日米機の全航程を識別したうえで機種も特定したと主張。スクランブルには中国軍の「蘇30」や「殲11」などの主力戦闘機が対応したという。
中国は23日に沖縄県の尖閣諸島を含む東シナ海上空に防空識別圏を設けると発表。圏内を飛行する航空機には事前通告を要求すると一方的に伝えていた。
スクランブルは米軍機や自衛隊機が中国に事前通告せず、相次いで中国が設けた防空識別圏内を飛行したことに対抗する狙いがある。国内向けにアピールする目的もあるとみられる。
中国空軍は、米軍の戦略爆撃機B52が26日に中国の防空識別圏の東端を飛行した際には戦闘機を緊急発進させていなかった。中国国内での批判をふまえ、28日には防空識別圏内で、戦闘機や早期警戒機を巡視飛行したと発表していた。
中国空軍は防空識別圏では「高度な警戒態勢を維持している。脅威の程度に応じて相応の措置を取り、防空上の安全を断固防衛する」と繰り返し主張している。
スクランブルは外国機が領空を侵犯する恐れがあるときに自国の戦闘機などを飛ばして警告する措置。自衛隊は2012年度、中国機に対して約300回のスクランブルを実施している。