東通原発の敷地内断層、専門家の意見割れる 規制委
原子力規制委員会は24日、東北電力東通原子力発電所(青森県)の敷地内の断層に関する評価会合を開いた。地盤のずれを引き起こす可能性がある断層(活断層)かどうかに関して、規制委の調査団のメンバーである4人の外部有識者の意見が割れており、結論が出るまでには時間がかかりそうだ。
同日の会合では東北電が独自に実施した追加調査の結果を報告。敷地内で確認されている地形のゆがみは「地層が水を吸って膨らんだもの」とする膨潤説を改めて主張し、活断層説を否定した。
これに対して専門家からは「膨潤説には根拠がない」(東京大学の佐藤比呂志教授)と否定的な声が出た一方、千葉大学の金田平太郎准教授は「膨潤が大きくかかわっている可能性は高い」と指摘。産業技術総合研究所の粟田泰夫・上級主任研究員も「膨潤の可能性も半分くらいありそう」と理解を示した。
問題になっているのは敷地を横切る「F-3」断層や、原子炉建屋の近くにある「f-1」と呼ばれる小断層など。仮に活断層と判定されれば同原発は大幅な耐震補強工事が必要となり、2015年7月をめざす再稼働は当面難しくなる。
規制委は12年12月に1回目の現地調査を実施。当初は専門家の意見が活断層説で大筋一致したため、昨年5月に「活断層の可能性が否定できない」とする評価書案をまとめている。ただ、東北電の追加調査の結果を確認するため、最終結論を先送りして現地調査を繰り返していた。
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