全被爆者認定を否定、原爆症基準見直し報告案 厚労省検討会
原爆症認定制度の見直しを議論する厚生労働省の有識者検討会が14日あり、最終報告書の原案が示された。10月に公表した骨子案を踏襲し、認定要件の一つである病気と放射線との因果関係(放射線起因性)など現行の基準を維持する内容。日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が求めた「全被爆者の認定」は否定される形になった。
被団協側は同日の記者会見で「できる限り被爆者の意見を取り入れてほしい」として、次回会合までに修正案を出す考えを表明した。
検討会は11月中に報告書をまとめる方針だが、被団協の委員と他の委員との意見の相違は大きく、制度見直しの結論は政治判断に委ねられる可能性が大きい。
報告書案は放射線起因性を前提に認定のあり方を考えることが適切と指摘。そのうえで、検討会の多数意見として「被爆状況などの事情を問わず原爆症と認定することは適当ではない」「(国が相次ぎ敗訴した訴訟の)判決を一般化した基準を設定するのは困難」などの見解を並べた。
一方で、原爆症として積極的に認定している7つの病気のうち、心筋梗塞などがん以外の病気の認定基準が不明確などとして「爆心地からの一定の距離など外形的な標準を示し、柔軟に認定するのが適当だ」とした。