原発審査、2委員に負担集中 年内判断は微妙な情勢
原子力規制庁では、約80人の職員が3チーム体制で6原発12基の安全審査に着手した。ただ、司令塔となる原子力規制委員会では5人のうち2人の委員に負担が集中。再稼働第1陣の安全面での判断を年内に下せるかが焦点だ。
規制委は今後、週に1~2回程度のペースで審査会合を開く見通し。次回会合は23日。
同委では、田中俊一委員長は個別の審査に携わらない方針。残る4委員のうち2人は元外交官と放射線医学の専門家。地震学者の島崎邦彦委員長代理と、原子炉工学が専門の更田豊志委員に安全審査の判断が集中する構図になっている。一部では「負担の集中が迅速な審査の障害になる」との声もある。
現在申請済みの6原発12基について規制庁は「同時並行で審査する」としているが、各社の安全対策の進み具合には差がある。規制委の陣容にも限界があるため、審査が先行する原発と出遅れる原発に分かれる見通し。
審査のAチームは四国電の伊方と関電の大飯3、4号機、九電の玄海3、4号機(佐賀県)を担当。大飯は断層問題に結論が出るまで本格審査は難しいため、伊方と玄海の審査が優先される。
Bチームは北海道電の泊1、2号機と九電の川内1、2号機。北電は泊3号機の再稼働を優先させたい方針で、川内が先行しそう。Cチームは泊3号機と関電の高浜3、4号機を担当するが、高浜は津波対策などの指摘もあり、泊3号の審査が先に進む見通し。