50万円の小型電動3輪車 2014年に国内発売へ
韓国ATT R&Dは、2013年9月25~27日に東京ビッグサイトで開催した「電気自動車開発技術展」に、電動3輪車「スマートポーター(略称スマポ)」を出展した。リチウム(Li)イオン2次電池を搭載しながら低価格化を図ったのが特徴。日本国内では2014年から50万円で発売する予定だ。国内販売はIRDCが担当する。
価格が50万円以下の電動3輪車には、プリント基板メーカーのキョウデンのグループ会社GPCCが販売する29万8000円の「Rena」がある。ただし、こちらは鉛電池を採用し、アッパーボディが架装されていない。Liイオン2次電池を使いながら、ボディを架装したものとしては例がない。
ATT R&Dはハイブリッド車への改造や電気自動車の開発を手がける韓国のベンチャー企業で、電動車両の開発に10年以上携わっている。この技術を元に、イタリア人のデザイナーが設計し、海外で樹脂成形などを手がける日本の企業IRDCが協力してプロトタイプを製作した。2014年に北米、欧州、日本で同時発売する予定。
車両はアルミニウム合金製のフレームに、FRP(繊維強化樹脂)製のボディを被せたもの。あえて3輪車とすることで、部品点数を減らすとともに、4輪車ほどの安全基準が求められないことからコストを低く抑えられたという。
試作車では、出力3.5kWの韓国製ACモータを使用。Liイオン2次電池は容量3.2kWhの中国製のリン酸鉄系のものを積んでいる。航続距離は50km。日本で使う場合は、モータの定格出力を0.6kW以下として、一人乗りの第一種原動機付き自転車とする計画。
また、計器類をスマートフォン(スマホ)で代用するほか、充電状態の把握やナビゲーションシステムもスマホを使う仕組みを想定している。
海外ではイタリアで郵便配達のニーズがあるとする。東南アジアでは乗車定員を2人以上とし、タクシーとしての用途を見込む。また、部品をそろえて組立キットとして販売する計画もある。
(日経Automotive Technology 林達彦)
[Tech-On! 2013年9月27日掲載]