36億年前の火星に湖、NASAが無人探査機で確認
約36億年前の火星に微生物などの生命を育むことができる湖があったことを無人探査機「キュリオシティ」で確かめたと、米航空宇宙局(NASA)の研究チームが米科学誌サイエンス電子版に9日発表した。
昨年8月に火星のクレーターに着陸したキュリオシティの観測結果を分析。着陸地点から約450メートル離れた「イエローナイフベイ」と呼ばれる深さ5メートルほどのくぼ地に、水をたたえた湖が少なくとも数万年にわたって存在したと結論付けた。
微生物の痕跡そのものは見つかっていないが、NASAはさらに生命活動の直接の証拠を探す方針。新たな探査機を火星に送り込み、有望なサンプルを地球に持ち帰ることも構想している。火星にはかつて海や川があったと考えられている。
キュリオシティは着陸地点から緩やかに傾斜しているくぼ地に向けて走りながら岩石や地形を分析。水が流れたような痕跡を複数見つけたほか、湖に川が流れ込む場所に特有の細かい泥がたまってできる堆積岩をくぼ地内で確認した。堆積岩は少なくとも4平方キロの範囲に広がっていた。
年代はクレーターができた後の36億年前ごろと推定。現在と違って温暖だった時期にクレーターの外から水が流れ込んでくぼ地にたまり、16億年前までの間にも湖ができた可能性がある。
湖の水は中性に近く塩分濃度も低かったらしい。地球の洞窟や熱水噴出孔近くで見られる細菌が生息するのに必要な鉱物や、炭素、酸素、水素、硫黄、窒素、リンといった主要元素を含む環境だったとチームはみている。(ワシントン=共同)