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出身県当てます 女子大生が開発「方言チャート」

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方言に関する二択に何問か答えるだけで、出身都道府県が分かる――。そんな「出身地鑑定方言チャート」を東京女子大学の学生が開発中だ。指導に当たっているのは、方言なのに共通語だと思い込んで使っている「気づかない方言」の研究で知られる篠崎晃一教授。現在は6割程度というチャートの正解率だが、7割まで向上できたら対外的に公表する方針で、11人のゼミ生らは「自分の出身地を好きになるきっかけになれば」と期待している。

まずは東日本・西日本を判別

記者(34、静岡県西部出身)が試行版のチャートを試してみたところ、確かに静岡県にたどり着くことができた。一体どんな仕組みになっているのか?

チャートは、まず出身地を東西に割り振ることから始まる。1問目に登場するのは「『そんなことやらん』と言いますか?」。否定の助動詞に「ない」を使う東日本と、「ん」を使う西日本という典型的な東西分布を反映している。

最初の数問で東日本か西日本だけでなく、方言的な特徴や傾向をつかんで地方別に誘導していく。地方の分類は「北海道・東北・新潟」「関東」「長野・山梨・静岡」「東海3県」「北陸3県」「近畿」「中国」「四国」「九州」「沖縄」。チャートは全体で9ページ、設問は80問超で成り立っている。

篠崎教授が強調するのは「二段構え」の構造。1問目の「やらん」で「言わない」を選ぶと、次に待っているのは「『明日、家におらん』と言いますか?」という質問。東日本の「いる」と、西日本の「おる」も、「ない・ん」と並んで東西差が色濃く出る。西日本出身者が何らかの事情により1問目で「言わない」を選んでしまっても、ここで「言う」を選べばちゃんと西日本ルートに戻れるような仕組みを用意している。

3~13歳の居住地が前提

地方のページまで到達すれば、ピンポイントで出身を特定できる質問も用意されている。「『鶏の空揚げ』の『ザンギ』」(北海道)、「『(1)、(2)』を『いちかっこ、にかっこ』と読むか」(山形)、「『口の中のできもの』の『かぜねつ』」(福井)、「『開けたら閉める』という意味の『あとぜき』」(熊本)――などが有名で、これらの方言はほぼ100%その道県でしか使われていないという。

出身県にたどり着かないケースで多いのが、隣県に行ってしまうパターン。複数の県にまたがって使われる方言も多いため「県境の人は難しい」と篠崎教授。逆に同一県内でも一部地域でしか使われない方言もある。これは江戸時代の藩の区画が、方言の境界としてより影響力を持つ場合がしばしばあるためだ。また3~13歳ぐらいが言語形成期に当たるため、この時期に同じ所に住み続けていることがチャートの前提となっている。

最難関は関東地方 学校関係用語も駆使

ある日の篠崎ゼミを訪ねると、活発な議論が交わされていた。

「都会に出て方言を使わなくなると、その地域の方言がうつってしまうことだってあるでしょう。『地元にいる気分で進めてください』『友達としゃべる気分で答えてください』と注釈を入れるのはどうかな」

「『言いますか』という質問形式になっているけど、常にそう言うわけでもないし、『言うことがありますか』にした方がいいと思う」

議論に多くの時間が割かれたのは関東ページの改善について。共通語が多く言葉が平準化している上、7都県に細分化しなければいけない最難関だからだ。

「授業が始まる前の号令の『起立、注目、礼』」(群馬)、「宿題を提出する場面で使う『あげる』」(茨城)など学校関係の用語を多用しているのも、一般的な方言ではなかなか決め手にならないことの裏返しというわけだ。

そんな学校に関係する質問の一つが「教室に並べてある机の列を指す『1の川、2の川……』」という言葉。ここで「言う」を選ばなければ東京へは分岐できないのに、意外に東京では使われておらず、誤答が頻出した。ゼミ生たちは「関東は難しい」と苦心する。

用例採集は「生の声」から

難易度が高い関東はゼミ生全員でアイデアを出し合う形となったが、そのほかは地方ごとに担当する。

現代教養学部国際社会学科3年、大八木彩さんは青森出身で東北地方を担当。ふるい分けがうまくできたと胸を張るのは「仕事や課題を完成させることを『でかす』と言いますか?」という設問。秋田を中心に隣県の青森、宮城でも使われる方言で、回答が「言う」ならこの3県、「言わない」なら岩手、山形、福島と、高確率で分類できるという。

こうした設問、ゼミ生たちは一体どうやって見つけ出すのか。

同学科3年、石川友莉子さんは「方言辞典は使っていない」と話す。「若者が現在使っている、生の声の方が優れた情報」だからだ。友人や知人に「こういう言い方をする?」と直接聞いたり、共通語を話す友達から「意味が分からない」と聞き返された経験がある言葉を教えてもらったりする。ときには「友達の友達の友達」までつてを求めて探し回るほか、フェイスブックなどの交流サイト(SNS)も駆使する。

正解率が7割程度まで高まれば、対外的にも公表したいというのが篠崎教授の方針。実はこの出身地鑑定方言チャートは2代目で、2008年に挑んだ時には「時間切れ」で不完全なものに終わってしまった。それから5年。この間に蓄積した「気づかない方言」に関する情報も今回の試みを支えている。

ゼミ生たちはこのチャートをどう役立ててほしいと思っているのか。総括役でもある大八木さんは「自分の知らなかった方言に気づいたり、自分ゆかりの場所を改めて知ったりすることで、自分の出身地を好きになるきっかけになればいい」と話している。

(中川淳一)

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