消費税「予定通り増税を」7割超 政府の点検会合終了
消費増税の影響を検証する政府の集中点検会合が31日終了した。有識者60人のうち、7割超の44人が予定通り消費税率を2014年4月に8%に引き上げることに賛成だった。一方で景気への悪影響を緩和するため、税率の上げ幅を変えるべきだとの意見も出た。安倍晋三首相は今後発表される最新の経済指標も踏まえ、10月上旬までに消費税率の引き上げを最終判断する。
31日は6日間で計7回にわたった点検会合の最終日で経済・金融をテーマに経済学者やエコノミストら9人から消費増税の影響や是非を聞いた。
予定通りの引き上げに賛成だったのは6人。賛成の理由として「消費税引き上げで社会保障制度を持続可能なものにすることが財政再建の第一歩」(吉川洋東大教授)と財政健全化に不可欠との意見が大勢を占めた。
ただ、消費増税による景気への悪影響を抑えるため、「補正予算などの対策を打ち、ショックを和らげることが大事だ」(JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミスト)と手厚い対策を求める声も相次いだ。
消費増税が安倍政権の掲げるデフレ脱却の足かせとなるとして、税率の上げ幅の変更を求めたのは2人だった。内閣官房参与の本田悦朗静岡県立大教授は「来年4月はインフレ期待の形成に非常に重要な時期だ」と指摘し、14年4月は1%か2%の引き上げにとどめ、その後は1%ずつ引き上げるよう提案した。
6日間の点検会合全体では上げ幅変更などを求めたのは8人で、増税の中止や延期を6人が求めた。消費増税による景気の腰折れ懸念を財政出動や消費税以外の減税などで、どこまで払拭できるかが今後の焦点となる。
安倍首相は慎重派の意見や経済指標などにも配慮し、最終判断へ向けて慎重に検討する。点検会合の結果は甘利明経済財政・再生相が9月2日にも安倍首相に報告する。甘利経財相は31日、「首相が適切に判断できるように材料の一つとする」と述べた。