全漁連「東電の汚染水管理は破綻」 社長に抗議
東京電力福島第1原発事故で深刻化している汚染水問題を受け、東電の広瀬直己社長は29日午前、東京都千代田区の全国漁業協同組合連合会(全漁連)を訪れ、今後の汚染水対策について説明した。
険しい表情で広瀬社長を出迎えた全漁連の岸宏会長は話し合いの冒頭、「7月の(海洋への)汚染水漏水に続き、今回は貯蔵タンクからも漏れが発覚した。地元漁業関係者の失望感は極めて大きい」と不快感をあらわにし、申し入れ書を手渡した。
広瀬社長は「重ね重ね大変申し訳ない」と頭を下げ、今後の対策を説明。汚染水拡大の一因となっている地下水については、国や海外の専門家からの支援を受けて止水などの解決に当たると強調。一方、汚染水漏れが発覚した貯蔵タンクの管理・運営は現場の人員増強などにより再発防止を図るとした。
ただ岸会長は「もはや(東電の)汚染水管理は破綻した」との認識を示した上で、同日午後に菅義偉官房長官と会い、国が問題の解決策を主導するよう要請する意向も明らかにした。
汚染水問題を受け、9月以降の試験操業を中断する福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は会談後、記者団に「我々は一からやり直しだ」と憤った。宮城県漁協の菊地伸悦会長も「今回東電が説明した対策は2年前でもできた。納得できない」と声を震わせた。
第1原発では7月に東電が初めて汚染水の海洋流出を認めた後も、8月に貯蔵タンクから約300トンの汚染水が漏れ、一部が外洋に流出した可能性が高まっている。