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若者よ、君の20年後の飯の種は「今存在しない仕事だ」

NPO法人フローレンス代表理事 駒崎弘樹(6)

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今回は、高校生や大学生などの若者に向け「これからの時代に、どのように働くか」ということを語りたいと思います。

2011年8月のニューヨーク・タイムズ紙で米デューク大学の研究者であるキャシー・デビッドソンさんの研究が発表されました。そこには「米国で2011年度に入学した小学生の65%は、大学卒業時、今は存在していない職に就くだろう」とありました。

確かに、僕が小学生だったころにドコモショップの店員という仕事はなかったし、WEBアプリのデザイナーもいなければ、社会起業家なんて職業はもちろんありませんでした。つまり20年後は、多くの人々が、今我々が想像だにしない仕事で飯を食っている可能性が高い、ということです。そう考えると、今皆さんが「ここの会社に入ったら、親も喜んでくれる」とか「この業界であれば合コンでモテる」等と考える企業や業界が、20年後に存在しているかというと、はなはだ怪しいです。

現にたかだか10年ほど前、僕の学生時代に就職偏差値(学生の入社したい人気度・難易度)が高かったのは、リーマン・ブラザーズでしたが、多額の投資資金とともに消えてなくなりました。また10歳離れた姉の時代は銀行が花形だったそうですが、「いじめられても、辞めたら外で生きられないから、しがみつく」と半沢直樹が原作で自嘲的に語るように、とても厳しい状況になっています。

僕たちの生きる時代は、どうやら半端ないスピードで変化しているようです。では、そこで職業人として生きるには、どのような能力が必要なのか。僕は個別の技術やスキルセットの土台となる「メタ能力」だと思っています。この能力には、大切な3つの要素があります。

「学び続ける力」と「コラボする力」

1つ目は「学び続ける力」です。

世の中の変化に応じて、社会に出てからもさらに学び続ける。1つのスキルが陳腐化しても、次につなげていく。たとえば、経理のなかでも特に、非営利組織の経理をさらに学ぶ。そうすると、単なる経理業務とは異なる専門性を組み合わせることができ、希少性を高められます。

あるいは翻訳。今はグーグル翻訳などがあり、単に「英語を日本語に置き換える」という力だけでは十分ではなくなりました。けれど「医療分野の英語に詳しい翻訳者」となると付加価値が高まります。学び続けて専門性を獲得し、専門性を組み合わせていくことが重要です。

2つ目は「コラボレーション・リテラシー」です。日本は中国や韓国のように安いものを大量生産しても価格競争には勝てません。付加価値を高めて商品を売ることが必要になってきます。

そのためには異なる専門性の組み合わせが不可欠です。かつては同じセクションの人とだけ働くことが一般的でしたが、現在は、WEB製作一つとっても、フリーランスのデザイナー・インハウス(社内)のプログラマー・設計役のWEBマーケティングコンサルト、と異なる働き方をして、異なる技能を持っている人たちと、期間限定で働くのは当たり前。

強いところを残して、弱いところは外部のより専門的な会社に依頼する仕組みが当然になっていく。そうすると従来型の親会社―下請けモデルだけではなく、意見の違う人たちと対等に一緒に仕事をし、成果を出していくリテラシーが必要になってくる。価値観、文化、バックグラウンド、国籍も違うかもしれない人たちと、期限までにアウトプットを生み出していく能力です。

ここで「国籍が違う人と一緒に」というと、「=語学ができる」ということと勘違いされがち。でもこれは違います。国際会議によく呼んでもらいますが、アジアの方の英語は結構めちゃくちゃだったりします。けれど、単語と単語がつながればお互いの言いたいことは大体わかったりする。まずTOEFLの勉強をしよう、じゃなくて、まず外国人の友達つくろうか、でよいと思います。ビビる必要まるでなし。

課題に気付き、試行錯誤する力

3つ目は「問題を見つけて試行錯誤する力」です。仕事でやることは20年後、100年後も「問題発見」し「問題解決」をすることです。これは不変です。

現に、せっかく作った作物を、手で運ぶと効率が悪い、と紀元前5000年に誰かが「問題発見」し、箱に丸い輪っかを付けるとすんなり進むぞ、と「問題解決」して車輪ができたわけです。車輪に限らず、ほとんど全ての「ビジネス」に共通するのは、この構造。

この問題解決のプロセス。それは「これは課題ではないだろうか」と気付き、まだ答えがないものに仮説を立てて、プロトタイプを作り、やってみて失敗して、また試してみて答えに近づく、という単純なもの。でもこのプロセスがえらい重要なのです。一昔前の「正解」はグーグルに転がっているけど、未来の答えは手作りしなくちゃいけないから。

「学び続ける力」「コラボレーション・リテラシー」「問題を見つけて試行錯誤する力」――この3つの能力を下支えするには、何よりも「内発性」と「自己と他人を肯定する力」が必要です。「やらされてやる」じゃなくて、「やりたいからやる」という、内から湧き出る力。これが内発性。そして「自分には価値がある」と信じられるからこそ、試行錯誤につきものの失敗を繰り返すことを、恐れない。小さな失敗くらいで、自分の価値は揺るがないから。そして「目の前の人には、可能性がある」という根拠なき他者信頼なくして、コラボレーションはできません。

「マイプロジェクト」で成功体験を

この「内発性」と「自他を信じる力」を磨くために、これから社会に出ようとしている学生のみなさんには、いろいろなプロジェクトに参加したり、立ち上げたりして、小さくてもいろいろな成功体験を積んでほしい、と思っています。

僕は、この小さな取り組みを「マイプロジェクト」と呼んでいます。マイプロジェクトはなんでもいい。

たとえばラーメンが好きな人が、うまいラーメン店のマッピングアプリを作りたい、と思ったとする。そのときに「俺、こういうことを考えている」と周りの人に話したら、興味を持った友達が集まってくるかもしれない。そこで本人もプログラミングを学ぶ。「これを作りたい」という明確なゴールがあれば、学び続けることができます。単に「一からプログラミングを学ぼう」だけだとつらいかもしれませんが、アウトプットが描けていればインプットは早くなるし、楽しくなります。この「楽しさ」が内発性へとつながります。

インターンで職業観を養おう

最近、インターン、つまり職場体験や社会における経験を学生に提供する企業が多いと思います。就活の一環として、3日くらい「お客さん」になるのは、正直たいした意味はない。しかし、半年くらいガッツリ入ってやる「長期実践型インターンシップ」ならば、話は別です。

僕の経営するフローレンスでも、これまで100人以上の長期実践型インターンを受け入れてきました。この中で、社会人とほぼ同じような仕事をしてもらいます。お客さんではなく、仲間として。時にいきなり新規事業の立ち上げにぶちこまれます。

ほとんどの学生は、就活する前は大人と言えば「親・先生・店長」しか話す機会がありません。就活にしても、「面接官」と、「一瞬話を聞けるOB・OG」が加わる程度です。「普通の大人」が、どう働いて、どう子育てして、どう理想を持って、どうままならぬ現実と向き合っているか、知る由もありません。

そんな中、共に働きながら、普通の大人たちを知っていきます。更には、責任と機会が与えられ、仕事を通じて挑戦を繰り返します。

インターンのなかで新規事業を担当した学生のなかには、事業が成功したことで自信を持ち、その後起業した人もいました。強い自己肯定感、「俺、やれるわ」という気持ちを持つことができたのでしょう。どの学生もがっちり半年間働くことで、来る前と来た後は見違えるように大きく成長しました。

学生時代に「働く」を経験することによって、自分がどんな「働く」を人生に組み込みたいか、真剣に考える機会になる。それまでは企業の名前や就職偏差値のようなもので職場を選んでしまう人も多かった。しかし、「ガチで働く」ことを通じて、今まで自分で見えてなかった、自分の中にある内発性に気づく人たちは非常に多いのです。

「意識高い系(笑)」という嘲笑を恐れるな

こういうふうに前のめったことを言うと、はいはい「意識高い(笑)」ね、と冷やかされそうです。昨今のネットでは、在学中に起業したりサークルを立ち上げたりして、それを盛り気味にアピールしている人たちを、皮肉を込めて「意識高い」とからかうスタイルが流行っています。

しかし、こういうことを言っているオッサンたちは、基本、無視してよい。なぜなら、まともな大人は学生を嘲笑することに時間を使っている暇はないからです。働く大人にとって、時間はとても貴重です。その時間で本が読めたり、将来の起業のプランを練ったり、恋人の誕生日を祝ったり、息子と公園で遊べるわけです。そうした大切な時間を、赤の他人のために使いたいとは普通は思いません。しかし若者をディスりたい(ディスる。「ディスリスペクトする」の意。軽蔑すること)大人たちは、ままならない鬱屈を自分よりも年下のあなたにぶつけてスッキリしたいから、わざわざ時間を使ってコミットしてくるのです。

百歩譲って、そういう「意識高い系」の学生がウザかったとしましょう。確かに「マッキンゼー内定」みたいな名刺を出されて「NPOを支援したいんです」とか言われると、苦笑いしたくなる気持ちも分かります。

けれど、若者は基本的に背伸びしたいものだし、何者かになりたい、という飢えのような感覚があるのは、むしろ健全ではないでしょうか。確かに見てるとイタいけど、じゃあ彼らをあざ笑うお前は、若い頃イタくなかったのか、と。

僕は正直、イタかった。誰よりもイタかったです。学生でITベンチャー経営とかやっちゃった時点でアレだし、「僕たちのコンピタンス(主に企業などで得意分野のこと)は安い労働力ではなくて、R&D(研究開発)にあると言ってもよいんですよね」とか素で言ってたので、もう穴があったらダイブインしたいレベルです。

それでも契約書の書き方一つ知らずに、背伸びして営業していたあの日々がなかったら、今の人生は多分なかったわけで。だから若者には、思い切り背伸びして、勘違いして、派手にコケながらまた立ち上がってほしいと思います。

そしてロスジェネな僕たちの世代は、若者たたきなんてヒマそうなことしてないで、むしろ次世代を育てていくべきだと思います。だって、2050年には高齢者が人口の40%っていうハイパー高齢社会が待っているんですよ。若者ディスってるヒマがあったら、その克服策をシャカリキに考えて実行しなくちゃいけないし、どんどん後進を育てて戦力にしていかなきゃいけない。でないと、日本ヤバいでしょ。

最後に

まとめます。おっさんからの「ディス」は放置して、どんどんマイプロジェクトを立ち上げ、親・先生と店長以外の大人と絡みながら、めくるめく挑戦の日々を送ってください。おそらく一生のうち何度も、職と職場を変えざるを得ない職業人生を君は送ると思うけど、専門性を連続的に学び続ける内発性と、多様な仲間とコラボれる力を磨いていけば、きっと平気。

日本は人類がまだ体験したことの無いハイパー高齢社会に突入する、問題特盛の「課題先進国」だけど、だからこそ面白い。僕たちがその解決策を創る、その主役になれるってことだし。解決できたら、日本の後を追う諸外国に、気前良く解決策を教えてあげよう。

そして20年後、今はない仕事を創って日本に、世界に貢献しよう。この時代に生まれたっていうのは、それだけで心躍ることなんだよ。

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