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放射線データの「保管庫」を 健康調査や除染計画に不可欠

編集委員 久保田啓介

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東京電力福島第1原子力発電所の事故後、各地で計測されている放射線データの利用をめぐり、研究者らが不満を募らせている。国や自治体によるデータ公表は広がっているが、様式や公開期間がバラバラで継続的に利用しづらいためだ。放射線データは住民の健康調査や除染など被災地の復興に欠かせない。多くの人が情報を共有できるよう、アーカイブ(情報の保管庫)づくりが急務だ。

国のデータは検索や集計できず

国や自治体の放射線モニタリング体制
原子力規制委員会全国3900地点(うち福島県内2900地点)の空間線量を原則10分ごとに計測、ネットでリアルタイムで公開
旧避難区域で車を走らせ空間線量を測定
航空機で放射性物質の沈着量を調査
国土交通省港湾、空港で空間線量や海水中の放射性物質濃度、下水汚泥の測定など
環境省河川や湖沼の水、底泥が含む放射性物質など
農林水産省農地、林野、牧草地、水産物の放射性物質など
厚生労働省食品中の放射性セシウム調査、水道水の放射性物質
海上保安庁海域の放射性物質濃度
防衛省空、海域の調査
都道府県・
市町村
幼稚園や学校の空間線量、給食や廃棄物中の放射性物質など

2011年3月の原発事故直後、インターネット上で多くの研究者や市民らが頼りにしたサイトがある。高エネルギー加速器研究機構の一宮亮氏ら有志約50人がボランティアで立ち上げた「radmonitor(ラドモニター)311」。中立の立場から情報を共有する場をうたい、文部科学省などが公表した各地の放射線量をグラフや地図にまとめ直し、分かりやすく発信した。

データは賛同者が分担して手作業で入力。自治体などのデータも加え、約1年間で収録件数は10万を超えた。一宮氏は「いまは原子力規制委員会による公表体制が整い、サイトは役割をほぼ終えた。だが国の公表データは検索や集計ができず、過去データを探せないなど、多くの問題を抱えている」と指摘する。

原発事故から2年半たち、国や自治体による放射線データの公開は大幅に進んだ。現在、原子力規制委はネット上で全国3900地点のデータを10分ごとに公開。土壌や水などが含む放射性物質、食品中の濃度なども一部が公開され、規制委のほか環境、農林水産、国土交通、厚生労働など5省が公表している。

詳しい統計はないが、国の公表分だけで1日数十万件のデータが積み上がる。これに自治体や研究機関、企業が独自に計測したデータを加えると、その数倍以上に膨らむとみられる。

だがデータの利用となると、課題が山積する。各省庁はそれぞれの目的に沿って公表しているので、様式や保存方法が統一されていない。公開期間もまちまちで、更新されると以前のデータを閲覧できない場合もある。いつまで公開するのかも各省庁の判断に委ねられている。

京都大学名誉教授でNPO法人「ふくしま再生の会」理事の政池明氏はこれに危機感を強め、放射線データのアーカイブづくりを訴えてきた。ボランティアとして福島県飯舘村の復興支援に加わり、「住民の健康調査や除染計画づくりで、誰もが利用でき継続的なデータが不可欠」と痛感。「研究目的というより、被災者のためにアーカイブづくりを急ぐべきだ」と話す。

問題意識が希薄な政府

それを阻んでいる大きな壁が、政府の問題意識が希薄なことだ。放射線計測については「モニタリング調整会議」を設け、省庁が連携する体制を整えた。だがデータの保存をどうするかは議論されず、予算や人員も手当てされていない。

政池氏は「例えば国立国会図書館が中心になり、官民からデータを集めたらどうか」と提案する。

事故直後、文科省が放射性物質拡散予測システム「SPEEDI」のデータを公開しなかったように、各省庁が担うと都合の悪い記録が残らない恐れがある。個人が身の回りで計った放射線量などはプライバシーにかかわり、公開・非公開のルールも要る。それらを考えると「中立で永続性があり、情報を取り扱う専門機関が担うのが望ましい」(政池氏)。

福島原発では大量の汚染水漏れが明るみに出て、原発事故がまだ収束していないことを浮き彫りにした。汚染水漏れに関連する放射線データも日々増え続けている。これらのデータが散逸しないうちに、政府や国会がアーカイブづくりを真剣に考えるときだ。

[日経産業新聞2013年9月6日付]

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