コンビニ最高益、スーパー苦戦 小売り3~11月決算
イオンが10日発表した2013年3~11月期連結決算は、営業利益が前年同期比4%減の948億円だった。ダイエーなど、買収した子会社の業績不振が響いた。同日出そろった主要小売企業の同期の決算では百貨店を中心に客単価の上昇が業績を押し上げるケースが目立つ。商品開発を強化し、消費意欲の回復を取り込めるかが成長のカギになっている。
イオンの売上高に当たる営業収益は4兆6211億円と12%増だったが、ダイエーとイオンマーケット(旧ピーコックストア)の低迷が続いた。
3~8月期は1%の営業増益を確保していたが、9~11月期からダイエーを新たに連結、イオンマーケットと2社合計で60億円程度の営業減益要因となった。「(両社の業績の)見積もりが甘かった」(森美樹副社長)という。過去の買収に絡む負ののれん関連の押し上げ効果がなくなり、純利益は47%減の199億円だった。
ただ中核の総合スーパー、イオンリテールの営業利益は2.6倍の57億円と堅調だ。プライベートブランド(PB=自主企画)商品の「トップバリュ」の売上高比率が2割まで高まり採算が改善。とりわけ高価格帯商品が6割増とけん引した。
小売り全体でも高単価品の伸びを取りこむ企業の好調が目立つ。高島屋は東京店(東京・中央)などの旗艦店で海外高級ブランド品などの販売が伸び、3~11月の客単価が4%上昇した。営業利益は164億円と15%増加。大丸松坂屋百貨店を展開するJ・フロントリテイリングは63%の営業増益だった。
コンビニは大手3社がそろって営業最高益を更新した。セブン&アイ・ホールディングスの国内コンビニは高価格帯PBの「セブンゴールド」がけん引。ローソンは1個180円のフライドチキンなどの高単価の総菜が好調で既存店客単価が1%弱上昇した。
専門店も同様で、ニトリホールディングスはデザイン性や品質を高めた高価格帯の家具・雑貨を拡充し、既存店客単価が3%強上昇。営業最高益を更新した。「無印良品」を展開する良品計画もカシミヤやウールの衣料品などが好調で既存店客単価が2%増えた。金井政明・良品計画社長は「高くても高品質な物が欲しいというニーズは高い」と語る。
10日までに3~11月期決算を発表した小売業61社の営業利益の合計は前年同期を3%上回ったが、スーパーを中心に過半数の31社が減益となった。4月の消費増税後は消費が冷え込むとの見方もあり、競争は一段と激化する見通し。商品開発力の高い大手企業への利益集中は今後も進む見通しで、業界再編が活発化する可能性が高そうだ。
関連企業・業界