規制委、原発の老朽化審査に着手 まず川内1号機で
原子力規制委員会は31日、運転開始から一定期間が過ぎた原発の老朽化審査に着手した。原子炉や建物が傷んでいないかどうかを重点的に調べる。新しい規制基準では原発の運転期間を原則40年に制限しており、延長する場合は規制委の認可が必要だ。延長に向けた手続きが本格化するのは来年になるが、認可を得られずに廃炉を迫られる原発も出てきそうだ。
同日、九州電力の川内1号機(鹿児島県)の老朽化審査の初会合を開いた。7月で運転開始から30年となり、長年の稼働で設備が傷んでいないかどうか調べる。関西電力の高浜3号機(福井県)などでも今後、同様の審査が始まる見通し。
国内にある48基の原発のうち、すでに15基が運転30年を経過した。もっとも30年の段階では老朽化のために審査が不合格になる恐れはほぼない。川内1号機は昨夏から再稼働に向けた安全審査も進められているが、老朽化の審査はこれとは無関係で、再稼働時期に影響することもなさそうだ。
問題になりそうなのは40年を超えて運転する場合だ。新規制基準は原発の運転期間を原則40年と定める。1回に限り最長20年の延長も認められてはいるが「特別点検」という厳重な安全性の確認を経て、規制委の認可を受けなければならない。
日本原子力発電の敦賀1号機(福井県)など、とくに古い7基が運転延長を希望する場合、来年7月までに規制委に申請する必要がある。規制委の田中俊一委員長は「全部クリアするにはそれなりの時間とお金がかかる」と話しており、合格は簡単ではなさそうだ。
再稼働のためには老朽化対策だけでなく、新規制基準に定められた災害・テロ対策なども実施する必要がある。古い原発ほど新基準を満たすのに巨額の費用が必要。再稼働をあきらめて廃炉に踏み切る電力会社も出てくるとみられる。