超巨大ブラックホールにガス雲接近 銀河系中心が輝く
太陽系が属する銀河系の中心部にある超巨大ブラックホールにことし夏ごろ、巨大なガス雲が近づき、太陽の50倍ほど明るい光を放つとする予測を東京工業大などの研究チームがまとめた。ただし宇宙空間のガスやちりで遮られ、地球から目で見ることは困難という。
東京工業大の斎藤貴之特任准教授は「世界中の天文台が注目している。ガス雲の観測により、超巨大ブラックホールの周辺がどうなっているか理解が進むだろう」としている。
チームは、太陽の430万倍の重さを持つ超巨大ブラックホールの周りを回るガス雲の動きを、スーパーコンピューターで計算した。ガス雲はブラックホールの近くを通過する際に強力な重力によって引き伸ばされ、薄くつぶされる。つぶされることでガスの温度が上がって急激に輝きを増し、夏以降、1年間ほど輝き続けるとの結果になった。
可視光は遮られるが、近赤外光や電波、エックス線などで観測できるとみられる。
ガス雲は半径が、地球から太陽の距離の125倍となる大きさで、重さは地球の約3倍。秒速6千キロでブラックホールに最接近し、約1割がブラックホールに吸い込まれる見込みという。〔共同〕