障害持つ生徒を高校でも支援 通常クラスで特別指導
軽度の障害のある子供が通常の学級に在籍しながら、障害に応じた特別指導も受けられる仕組みを、文部科学省は高校にも導入する。小中学校で特別指導を受ける児童・生徒は2014年度に約8万3千人と年々増えており、高校進学後も学習支援を続けてほしいとの要望が高まっている。早ければ18年度から導入する方針だ。
こうした仕組みは「通級指導」と呼ばれ、1993年度に小中学校で始まった。対象となるのは発音が正しくできないなどの言語障害、読み書きや計算など特定の学習の習得に困難がある学習障害(LD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症、弱視や難聴などを抱える児童・生徒。
大半の時間は一般の生徒・児童と一緒に教室で授業を受ける。一部の授業時間は別室や特別支援学校などに移動し、障害に応じて専門教員らから特別指導を受ける。
例えば、計算が困難な子供が算数・数学の授業だけ別室で基礎的な計算を学んだり、弱視で音読が苦手な子供が文字を拡大した教材で授業を受けたりする。
文科省によると、公立小中学校で通級指導を受けたのは14年度は8万3750人で過去最多を更新した。93年度の導入時は約1万2千人だったが、子供の障害への理解が進み、教員研修が広まったこともあって増え続けている。
障害の特質により、幼い頃の訓練で克服できることもある一方、高学年になってから学習支援が必要になるケースも少なくない。高校は義務教育ではなく通級指導は導入されていないが、中学校で通級指導を受ける生徒の多くは高校に進学しており、生徒や保護者から高校での継続支援を求める声が強まっていた。
文科省によると、高校入学後、障害への理解がないために孤立し、不登校や中退となる生徒もいるという。
文科省の有識者会議は高校で通級指導の対象とする障害や指導体制などを議論する。有識者会議メンバーの岩井雄一・十文字学園女子大教授(知的障害教育)は「引き続き支援を受けることで子供が自らの特性や力をより理解できる。社会に出てつまずかないよう、高校でもきめ細かな指導が重要だ」と話している。