世界の再生エネ設備8.3%増 原油安でも伸び最大
15年末
【フランクフルト=加藤貴行】国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は7日、2015年末の世界の再生可能エネルギーの設備容量が前年末比8.3%増の19億8500万キロワットに達したと発表した。伸び率は統計を取り始めてから過去最高。風力や太陽光発電のコストが下がり、長引く原油安で火力発電のコストも低下するなかでも、経済性を伴う電源として定着したことを裏付けた。
15年の1年間の上積み分は1億5200万キロワットに相当する。内訳は風力が6300万キロワット(17%)増の4億3200万キロワット、太陽光を中心とした太陽が4300万キロワット(26%)増の2億2700万キロワットと、この2つがけん引役となった。
IRENAによると、過去5年間で陸上風力タービンの価格は最大45%、太陽光発電モジュールは同80%下落し、アジアなど新興国での普及を後押しした。再生エネ最大の電源である水力は3500万キロワット(3%)増の12億900万キロワットだった。また15年の再生エネ投資額は2860億ドル(約30兆8900億円)と、こちらも最高になった。
15年末の地域別の設備容量は、アジアが12.4%増の7億9700万キロワットと全体の4割を占めた。欧州が5.2%増の4億9700万キロワット、北米が6.3%増の3億3千万キロワットと続く。
再生エネは10年以降、毎年8%前後の拡大を続け、14年後半から続く原油安の局面でも勢いを増し、投資を呼び込む循環に入っている。
IRENAは再生エネ普及をめざす国際機関で、日本を含む145カ国と欧州連合(EU)が加盟する。アドナン・アミン事務局長は声明で「原油や天然ガスが安い時代でも再生エネは増え続けている。投資家や政策立案者に対し、再生エネが好ましい選択肢というサインになる」と述べ、楽観的な見通しを示した。