イエレンFRB議長会見要旨(4) 「原油安による物価押し下げ、いずれ消滅へ」
――原油価格の米経済への影響をどう見るか。利上げのタイミングの決断に影響を与えるか。
「原油価格が米経済に与える影響は小さくない。当然、原油価格の動向には注目している。原油価格の低下はインフレ率を下げる効果がある。ただ、その効果には限定的な面もある。原油価格が底入れし始めると、いずれインフレ率の押し下げ効果も小さくなる」
「足元ではこうした現象が始まっているようにみえる。原油価格は底入れの気配を見せ始めているだけでなく、わずかに上昇し始めている。いずれ原油安によるインフレ押し下げ効果は消滅していく」
「同時に原油価格の下落がもたらす負の影響も指摘しておく必要がある。原油の掘削・採掘活動が低迷し、投資も鈍る。製造業、特にエネルギー産業での雇用低下につながる」
「国や時代によって、原油安が経済に与える影響はまちまちだ。米国の一般世帯に対しては、好影響を与える。我々の試算によると、2014年半ば以降の原油価格の下落のおかげで、1世帯あたりの収入は実質1400ドル増えた計算になり、支出増を支える要因となった」
「ただ、ほかの国には原油安は別の影響を与えている。特に、石油輸出国にとって原油安は景気のマイナス要因だ。米国やそのほかの国との貿易活動が冷え込み、世界景気全体の不安要因となっている。原油安の影響を単純に説明することはできない」
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