中国の原子力・電力大手、豪水力大手を買収 1750億円
【北京=阿部哲也】中国国有の原子力・電力大手、国家電力投資集団(国電投)はオーストラリアの水力発電大手、パシフィック・ハイドロ(メルボルン市)を買収する。出資額は20億豪ドル(約1750億円)とみられ、パシフィック社が豪州やチリ、ブラジルに持つ合計19カ所の水力・風力発電所の経営権も手に入れる。習近平指導部が力を入れる企業の「走出去(海外に打って出る)」戦略の一環として海外進出を加速する。
パシフィック社の株主であるインフラ投資ファンドの豪IFMインベスターズと合意した。国電投がパシフィック社の発行済みの全株を買い取る方向。各発電所の運営権のほか、営業権や人員などすべての事業基盤も引き継ぐ。2016年1~3月中の手続き完了を目指す。
パシフィック社は再生エネルギーを専門とする新興の電力会社だ。豪州国内や南米に合計19カ所の水力発電所と風力発電所を持つ。総発電能力は90万キロワットで、国電投はパシフィック社から発電所の運営ノウハウや最新技術を吸収し、アジアなど他地域への進出に生かす狙いだ。
国電投は中国国務院(政府)直轄の大型国有企業で、今年6月に旧・国家核電技術と旧・中国電力投資集団が合併して発足した。習指導部は原子力・電力大手の海外進出を積極的に後押ししており、11月には中国広核集団(CGN)がマレーシアの火力発電会社を買収することで合意した。
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