四国電の前期純利益、7.9%増 水力発電で採算改善
四国電力は28日、2016年3月期の連結純利益が15年3月期比7.9%増の111億円となり、2期連続の最終黒字を確保したと発表した。17年3月期予想は売上高が0.6%減の6500億円としたが、損益は最終手続き中の伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)が再稼働しておらず未定とした。伊方3号機については熊本地震の影響はなく、想定通り7月下旬の再稼働を目指すとした。実現すれば収益は大きく改善する。
16年3月期の売上高は電力需要減や燃料価格の低下による料金収入減により、1.5%減の6540億円となった。4月からの電力小売り全面自由化に合わせたシステム改修費用は19億円だった。
一方、純利益は水の量が豊富だったことで採算の良い水力の発電量が増え、法人税の実効税率引き下げに伴う繰り延べ税金資産取り崩し額が減ったことで111億円となった。15年3月期並みの利益を確保し、年間配当は20円を維持する。
17年3月期の売上高見通しは、総販売電力量が2%減ることなどから0.6%減の6500億円。退職給付債務算定の割引率の低下などで166億円を費用計上する予定など、3期連続の最終黒字は楽観できない状況だ。
伊方3号機は熊本地震でも揺れを観測した。記者会見した佐伯勇人社長は「巡視点検などで安全性を確認しており、(最終手続きの)使用前検査や再稼働時期に影響はしない」との認識を示した。
同地震では熊本県内で震度7を2回観測した。九州から四国北部を経て紀伊半島を横断する長大な断層の連なり「中央構造線」との連動を懸念する指摘も出ている。佐伯社長は「480キロが連動し、すべてのエネルギーが放出されたとの想定も含め安全性を評価している」と反論。耐震設計で想定する最大の揺れ「基準地震動」(650ガル)を上回る1000ガルにも対応する安全対策を講じていると強調した。
電力小売り全面自由化に合わせて導入した電気料金システムに不具合が起きた問題で、佐伯社長は「誠に申し訳なく深くおわびする」と陳謝した。家庭向けのすべての顧客に対し、電気使用量や料金を一覧にしたお知らせを送付する考えを示した。原因を究明した後「社内処分についても適切に判断したい」と述べた。
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