三菱電機、伊社の大型空調機器をアジア展開
三菱電機は24日、空調冷熱システムの事業戦略を発表した。8月に買収を発表したイタリアの業務用空調メーカー、デルクリマ社の大型機器を欧州に加え中国や東南アジアなどでも販売を拡大し、空調事業のグローバル展開を加速させる。2020年度までに同事業の連結売上高を4割増の1兆円にし、現在6位の世界シェアを5位に引き上げる。
デルクリマの買収は15年度中に終える予定だ。同社は大規模ビルや工場の空調に使われる「チラー」と呼ぶ機器に強みを持つ一方、三菱電機は中小規模のビル向け「マルチエアコン」に強みを持つ。三菱電機は買収で製品群を拡充し、両社の販売網を相互利用し欧州、アジアなどで売上高を拡大する。
欧州では地球温暖化対策で環境規制がさらに強まる見通し。デルクリマのチラーに三菱電機の圧縮機を搭載するなどして、省エネ・環境性能の高い製品も開発し、「欧州でシェア1位を目指す」(杉山武史常務執行役)。
米国でも省エネ規制が進む。三菱電機は1台の室外機で冷房と暖房の同時運転ができる独自技術を用いた空調機器を中規模ビル向けに販売を始めており、メキシコ工場で生産機種を拡大していく。タイ工場でもアジアや欧米向けに生産能力を4割増の700万台体制にする。世界で約9千人いる空調事業の人員を20年度に1万3千人まで増やし、製品開発、販売拡大を進める。
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